柏レイソルは12月9日、天皇杯決勝に臨む。11大会ぶりに優勝を果たすことができるかーー。今年からコーチを務める大谷秀和が、憧れでもあった明神智和のいるガンバ大阪と対峙し、栄冠をつかんだ2012年度大会を振り返る。発売中の『バンディエラ ―柏レイソルの象徴が過ごした日立台へのサッカー人生―』(鈴木潤・著/ベースボール・マガジン社・刊)からエピソードを抜粋し、紹介する(前編)。

左腕の負傷で栗澤と交代

 後半に入ると、大谷と明神の攻防にも激しさが増した。62分、レイソル陣内中央にぽっかりと空いたスペースを見つけた明神は、左サイドバックの藤春廣輝にボールを要求しながらスペースへ走り込んだ。危険を察知した大谷も、ほぼ同時にそのスペースを消しにかかり、五分五分のボールに対する競り合いの中で、大谷と明神が激しく接触した。バランスを崩した大谷は地面に左腕を強打し、その場でうずくまった。

 直後の63分にも、丹羽大輝から縦パスを引き出した明神にアプローチしたのは大谷だった。しかし左腕の激痛が影響したのか、寄せた瞬間に明神に前を向かれた。大谷は右手で明神を掴み、ファウルで前進を食い止めた。このプレーに吉田寿光主審からイエローカードが提示された。

 左腕の負傷でプレーが困難となった大谷は、67分に栗澤僚一との交代でピッチを退いた。あとは信頼する仲間たちに託し、ベンチから戦況を見守った。大谷が退いてからもレイソルは老獪に試合を進め、前半に奪った1点のリードを守りきった。したたかな試合運びができた要因に、大谷は前年のJ1優勝をはじめ、クラブワールドカップやACLで培ったチームの経験値を挙げた。

【後編へ続く】


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