明治安田生命J1リーグにおいて最も印象深いアシストを表彰する「月間ベストアシスト」。7月は、川崎フロンターレの左ウイング、マルシーニョのテクニカルなパスを選出した。サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」では今シーズンも「月間表彰」を実施、当サイトではベストアシストをピックアップして、その選手へインタビューしていく。チャンスで効果を発揮している「右足アウトサイドパス」の秘密は?

上写真=マルシーニョの右足アウトサイドパスが、川崎Fの攻撃のアクセントになっている(写真◎J.LEAGUE)

間違いなく練習から積み上げたからこそ

――7月の月間ベストアシストとして、マルシーニョ選手が7月9日のJ1第21節、ガンバ大阪戦でレアンドロ・ダミアン選手の先制点を導いたパスに決定しました。おめでとうございます!

マルシーニョ ベストアシストの賞があると知らなくて、受賞したときにうれしく思いました。知っていれば、もっともっとアシストすればよかったと(笑)。これから増やせるようにがんばります。

――ベストゴールもありますから、そちらもぜひ!

マルシーニョ そうですね、少しずつ増やせるようにがんばっていきます。自分の中では、北海道コンサドーレ札幌戦(6月18日の第17節)でカウンターで中盤からドリブルで抜け出して決めたゴールが、ベストゴールに選ばれても良かったと思っています(笑)。

――確かにあれは素晴らしいゴールでしたね。さて、今回の月間ベストアシストとなったシーンを振り返りたいのですが、開始6分と早い時間にそのシーンは訪れました。自陣左でチャナティップ選手が持ったときに一度、足下でもらおうとハーフウェーライン近くまで下がってきましたが、チャナティップ選手が前に運んでくると、それに合わせるように縦に出ましたね。

マルシーニョ 自分はスピードがあると思っていますから、それを生かすために何をしなければいけないかを常に考えています。チャナティップに限らず中盤の選手は誰でもボールを持てば、自分の特徴がスピードだとわかってくれていて、練習からそれを生かそうとしてくれます。コンビネーションはもう染みついているので、自然な動きとして出ましたね。

 最初に数歩、下がった動きについてですが、ディフェンスラインに張り付いていると相手は楽に守備ができてしまいます。少し後ろに動くことで相手のディフェンダーを呼び込んでから背後を取る工夫はしています。

――マークに来る相手が食いついてくるのは、スカウティングなどで事前に予測できていたのですか。

マルシーニョ 相手の映像はいつもミーティングで見て、特徴を分析した結果がスタッフから伝えられます。それはもちろんですが、あのプレーはとにかく日々のトレーニングの積み上げだと思っています。たまたまいいコンビネーションが生まれることもありますけど、あのシーンのことを言えば間違いなく練習から積み上げたからこそできたものでした。

 逆に、ディフェンスラインの裏に入って相手を背後に引っ張ってから下がって足下でもらえば、楽にプレーできます。下がって相手を引っ張り出してから背後に飛び出すことと合わせて、基本的なプレーが出たと思います。ワイドにポジションを取ってから相手が来なければ足下でもらえますし、食いついてくれば背後を狙える、ということは意識しています。

――チャナティップ選手のパスを裏に出て受けてから、中のレアンドロ・ダミアン選手に送るわけですが、ワンタッチで右足のアウトサイドでディフェンダーとキーパーの間に送り込むテクニックが光りました。ベストアシストに選ばれた最も大きな理由でもありましたが、あれはひらめきだったのですか?

マルシーニョ ダミアンとのコンビは練習でもできていて、ボールを裏で受けたときにダミアンが中にいることが確認できたので、あのアシストが生まれたと思います。今シーズンはあのように右のアウトでセンタリングを上げているシーンが何度もあります。あのような状況であれば右足のアウトサイドでも左足でも、タイミングよく上げることが必要だと思っています。

――つまり、タイミングを最優先したわけですね。

マルシーニョ ダミアンを見たときに、すでに最終ラインと並んでいる状態で、遅れればオフサイドになると思いましたし、自分のところにボールが届いた瞬間がまさにそのタイミングだったので、右足のアウトサイドで出しました。


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