名古屋グランパスの開幕4連勝という最高のスタートダッシュで、あえて危機感を口にする男がいる。米本拓司は5戦目となる横浜FC戦がターニングポイントだと集中力を高めている。3月17日のホームゲームでしっかり勝てるかが試される。

上写真=米本拓司が見据えるのは、横浜FC戦の勝利でさらに盤石になる名古屋グランパスの未来だ(写真◎J.LEAGUE)

「勝ち点を落とさない戦いをすれば盤石になる」

「2021年3月17日水曜日」は大事な1日になる。名古屋グランパスの米本拓司は、19時キックオフの横浜FCとの一戦を早くも「ターニングポイントになる」と重要視している。

「次の試合がターニングポイントになると思っています。ここまで積み上げてきたものが壊れるのは一瞬だと思いますし、ここで勝ち点を落とさない戦いをすれば盤石になると思います。でも、負けたら一気に崩れる可能性があると危機感を覚えています」

 名古屋は開幕から4連勝中。横浜FCは4連敗中。だから名古屋が勝つ、という安易な想定は危険だ。こういうときにこそしっかりと勝てるチームこそが強いのだ。

「相手は4連敗していますけど、いい選手は揃っていますし、監督さんがやりたいサッカーがハマったときにはすごいパワーを持っています。去年は1回も勝てていないですしね」

 昨季はアウェーで2-3、ホームで0-0と1分け1敗だった。戦術家である下平隆宏監督のサッカーは、相手の嫌がる場所にボールをどんどん動かして崩していくスタイル。敗れたアウェーゲームではきれいに崩されているし、今季は特に攻撃陣は渡邉千真や伊藤翔など他クラブで実績を残してきたストライカーを加えていて、4連敗中とはいえ、警戒を解くわけにはいかない。

 逆に言えば、自分たちが優位に立つ方法を考えなけれなならない。それが「先制点」だという。

「誰が出てくるかまだ分からないですけど、4連勝の流れとしては先制点が大事になると思うので、まずは失点しないことが大事ですね」

 先制すれば相手は前に出てくる。そうすれば、その逆をつけばいい。心理戦に持ち込める。

「先に取れば相手が前がかりになりますし、逆にうちが先に失点すれば前がかりになります。その心理を逆手に取って、相手が出てきたところで1点取れば、さらに出てくるようになりますが、そこは僕たちの課題でもあります」

 その意味では、前節のヴィッセル神戸戦で稲垣祥が決めた弾丸ミドルシュートはプロローグになるかもしれない。同じボランチの米本からすれば、あの一撃が相手の警戒心をあおって、逆手に取ることができるのだ。

「遠目でも寄せないと打たれるという気持ちで寄せてくれば、今度は例えばワンツーではがすこともできるようになってきます。あの祥の一撃が今後効いてくると思います。そうしたら、逆手に取って攻撃ができればいいと思います」

 相手の守備陣を引き出すためにはミドルを打て、は定石。しかもそれが、あの目の醒めるようなすさまじいゴールであれば、相手のアラートは最大になる。そうなれば、その逆を突く米本の出番というわけだ。

 いわば名古屋の未来を作り上げるビッグマッチ。勝てば開幕5連勝で、クラブ初の快挙となる。

「そんなに意識はないですし、目の前の1試合1試合を戦って4連勝、という感じでした。毎試合、目の前の相手に勝つことだけを考えて、常勝軍団というか、常にこのチームは嫌だなとか、戦ったら負けそうだと思われるようなチームになってきていると思うので、それを崩さないためにも次の試合がターニングポイントです。この流れを崩さないようにチーム一丸となってやっていきたい」

 もちろん、今度は米本が自らゴールを決めて勝てれば、なおいい。


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