J 1第3節で柏レイソルとのアウェーゲームに臨んだ名古屋グランパス。キックオフから激しいぶつかり合いが続く難しいゲームになったが、勝ち点3をもぎ取り、3連勝。決勝点を決めた稲垣祥はチームの結束力に胸を張った。

上写真=今季初ゴールに最高の笑顔を見せる稲垣祥。タフなゲームにも恐れることはない(写真◎J.LEAGUE)

■2021年3月10日 明治安田生命J1リーグ第3節(@三協F柏/観衆2,877人)
柏 0-1 名古屋
得点:(名)稲垣祥

「僕たちは試合の運び方に自信があります」

「僕も意外とこぼれ球に反応するのが得意なので」

 そう振り返って、稲垣祥はニヤリ。柏レイソルを1-0で下す決勝ゴールを決めてみせた。

 58分、中盤右で連動して守って相手のミスを誘い、米本拓司がボールを収めると、すかさず右奥のオープンスペースへ送り込む。これを見て稲垣はボランチの位置からゴール前まで長い距離を走っていった。

「中盤でチームでいい守備ができて、相手も守備陣形が整っていない中だったので、自分もフィニッシュに絡んでいこうと思って走っていきました」

 この間に、右サイドで受けたマテウスが得意の左足にボールを持ち替えてファーサイドにピンポイントクロス、柿谷曜一朗が見事なヘディングシュートを放った。GKキム・スンギュのファインセーブに阻まれたが、走り込んでいた稲垣の足元にこぼれてきた。

「曜一朗くんはヘディングがうまくて流し込む力がありますし、僕も意外とこぼれ球に反応するのが得意なので、信じて走り込みました」

 腰をひねって左足で鋭角にシュートを打ち込み、これもキム・スンギュのブロックにあうものの、カバーに戻ってきた柏のDF大南拓海に当たって転がり込んだ。記録は稲垣のゴールになった。

 ピッチのあちこちで激しいバトルが繰り広げられるホットな展開。キックオフ直後に稲垣自身がジャンプして競り合ったときに空中で背中から思いきり当たられ、ピッチに倒れ込んだのが始まりだった。

「レイソルさんと僕たちのスタイルを考えても、それにピッチ状況も大きな要因になってタフで激しい試合になりました。僕たちは一歩も引かないところは共通意識を持ちながら、最後までできました。そういった一つひとつの球際で少しずつ上回れていたのが勝因だと思います」

 マッシモ・フィッカデンティ監督もこの90分を「気持ちの争い」と表現していて、ピッチ上の選手たちは負けるわけにはいかなかった。実現できたことに稲垣は胸を張る。

「1点取った以上、当たり前ですがそこから失点しなければ勝ちです。僕たちは試合の運び方に自信がありますし、途中から入ってきた選手も同じ絵を描いて全員が同じ方向を見ているんです。そこはチームとして強みを感じますし、手応えも感じています」

 最後は5バックにして唯一の得点と白星を守り抜き、見事に3連勝。決して万全な状態ではなくても勝利を積み重ねていく、勝負師としてのチーム力。まさに「ザ・グランパス」な戦いで奪った勝ち点3と自信は、あまりにも大きい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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