上写真=残り3試合にすべて勝つ。米本拓司が名古屋グランパスをリードする(写真◎Getty Images)
「我慢比べで負けないように」
「オルンガ選手よりも注意しなければいけないのは…」
12月5日、アウェーの柏レイソル戦へ向けたオンライン取材の場で、米本拓司が最要注意人物の名を挙げた。
「江坂選手だと思います」
柏でナンバー10を背負う、江坂任である。理由は明白だ。「そこからパスが出たり顔を出していて、(オルンガとクリスティアーノの)2人を江坂選手がうまくコントロールしているというか、中継役を担っているからです。そこにボールを入れさせないように、後ろの選手とコミュニケーションを取りながら封じていければと思っています」と警戒レベルをマックスにして立ち向かう。
江坂のアシスト数は10でJ1で1位タイだから、数字を見るだけでも米本がそのパスに注意を配るのもよく分かる。さらに、26ゴールで得点ランクトップを独走しているオルンガは別格だとして、江坂は9ゴールでチーム内では2位なのだ。仲間にゴールを取らせることもできるし自ら仕留めることもできる、神出鬼没で万能型のアタッカーである。
オルンガを最前線に、クリスティアーノと江坂をその後ろに配置するのが最近の柏のスタイル。名古屋は4バックの前に米本と稲垣祥のボランチが構える形だから、このシャドーの2人をボランチもしっかりと捕捉しておかなければならない。
「江坂選手とクリスティアーノ選手は僕たちが見なければいけないと思いますし、オルンガ選手はセンターバック2人とマッチアップすると思いますが、こぼれたボールを拾えれば二次攻撃はされないので、集中して守れればいいと思います」
その上で、勝負のポイントになるのは「駆け引き」だと見ている。
「焦って攻めすぎないことですね。もちろん、攻めるときは攻めますが、駆け引きが大事になると思います。試合の流れで守るなら全員で守るし、相手が前がかりになってくるならカウンターに行くかどうかの見極め方が大事になります。その駆け引きを楽しみながらやっていければいいと思います」
柏は名古屋よりも2試合、消化が少なく、暫定3位の名古屋が勝ち点56なのに対して柏は47で6位。柏から見れば「6ポイントマッチ」になる上にホームゲームだから、積極的にゴールを奪いに来ることが予想できる。
「こちらが前がかりになって失点すると、相手の術中にはまることにもなります。レイソルも勝たないと厳しくなるので、逆にそこは狙っていけると思います。駆け引きしながらコントロールすればいいと思っています」
「(金崎夢生が負傷欠場した)前々節から我慢強く戦うことは口酸っぱく言っています。点が取れなくても、ロスタイムに取って勝つということも考えて、我慢比べで負けないように頑張りたい」
高度な頭脳戦の象徴としての「米本vs江坂」が展開されそうな90分。楽しみで仕方がない。