上写真＝名古屋が2度目の優勝。PK戦を制してサポーターとともに笑顔で記念撮影（写真◎高野 徹）
■2024年11月2日 JリーグYBCルヴァンカップ決勝（観衆62,517人／＠国立競技場）
名古屋 3-3 PK5-4 新潟
得点：（名）永井謙佑2、中山克広
（新）谷口海斗、小見洋太2
最後は山岸祐也が決めて優勝！
大興奮の3-3からPK戦で名古屋グランパスが3年ぶり2度目の優勝。そこに至るまでは、多くの紆余曲折があった。
プレスからのショートカウンターを仕掛ける名古屋グランパスと、ボールを動かしてそれをかわすアルビレックス新潟。その予想をなぞるような序盤だった。新潟が縦横にパスを運んでかいくぐりながら前進し、谷口海斗、宮本英治、長谷川元希がゴールに迫った。
しかし、大きなミスで試合は動いた。ここまでと同じように自陣でボールをつないで相手の出方をうかがっていたはずが、GK阿部航斗のパスが名古屋の1トップ永井謙佑の足元へ。永井はそのままボールを右足インサイドでたたいてゴール左に送り込み、31分にあっけなく名古屋が先制した。
リズムを狂わされた新潟を尻目に、名古屋は追加点を決めてみせる。42分、椎橋慧也がゴール前に送った浮き球のパスを稲垣祥がヘッドでつなぎ、和泉竜司のラストパスからまたも永井が押し込んで、首尾よく2点のリードを奪った。
永井謙佑が2ゴールと気を吐いて、名古屋を頂点に導いた（写真◎J.LEAGUE）
ゴールを奪うしかない新潟も、後半はチャンスを作った。開始直後には右サイドを破って小野裕二のクロスを秋山裕紀がボレーで狙うがGK正面。57分には左から右に振って太田修介がヘッドで落とすと、走り込んだ藤原奏哉が合わせたがゴールの上へ。
65分にはダニーロ・ゴメス、星雄次、さらには今大会得点ランクトップの長倉幹樹を投入して逆襲を図る。すると、これがずばりと当たる。
71分、ダニーロ・ゴメスが右サイドで受けると2人を引き連れて強引にカットイン、左足でクロスを送ると谷口がヘッドで押し込んで、ようやく1点を返した。続けて奥村仁と小見洋太を投入すると、さらに攻勢を強めた。
名古屋も山岸祐也、中山克広、菊地泰智とフレッシュなメンバーを投入してしのいで、崩れそうで崩れないのはさすが。このまま逃げ切る……はずだった。だが、アディショナルタイムにまさかが待ち受けていた。
ペナルティーエリア内で中山と小見が交錯。主審のオンフィールドレビューの結果、新潟にPKが与えられた。90＋11分、小見が落ち着いてゴール右に蹴り込んで、ついに同点にまで追いついた。
ところが、その興奮の余韻をかき消すように、延長に入ってすぐに決めたのは名古屋だ。PKを与えていた中山が93分、左からのクロスを山岸が落としたボールを右足でたたき、ゴール前の混戦をものともせずに左に蹴り込んで力いっぱいのガッツポーズで喜びをあらわにした。
こうなると、延長の残り時間はハイテンポで攻める新潟と落ち着いて守る名古屋という構図。名古屋は延長戦から入ったキャスパー・ユンカーがカウンターの急先鋒となって新潟を脅かし、新潟はダニーロ・ゴメスや奥村のドリブルを契機にゴールに迫った。
決勝にふさわしい1点を争う激戦は、これで終わらなかった。111分、新潟が名古屋の攻撃をしのいでカウンター、長倉のラストパスで左を抜け出した小見が落ち着いて左足でGKランゲラックの脇の下を抜いて、またもや同点に追いついたのだ。
大興奮のゲームはこのまま3-3で終わり、PK戦へ突入。先行の新潟は2人目の長倉が右に外したのに対し、名古屋は5人全員が成功し、5-4で新潟を抑えて3年ぶり2回目の優勝を果たした。新潟はクラブ史上初タイトルを目の前にしてかなわなかった。
