J2最終節が12日、各地で行われた。3チームに自動昇格の可能性が残される中、3位のジュビロ磐田が敵地で栃木SCを破って2位となり、1年でのJ1復帰を決定。4位の東京ヴェルディが大宮アルディージャを下して3位となり、最終節に勝てば昇格決定だった2位清水エスパルスはアウェーで水戸ホーリーホックと引き分け、4位に転落した。

上写真=1年でのJ1復帰を決めたジュビロ磐田(写真◎J .LEAGUE)

勝てば昇格の清水が悔しいドロー

 すでにFC町田ゼルビアがJ1昇格と優勝を決め、J1へ自動昇格できるのは残り一枠となっていた。最終節を前に自動昇格圏の2位に入る可能性があるのは3チーム。勝ち点73を獲得している2位・清水(得失点差44)、勝ち点72の3位・磐田(得失点差29)、同じく勝ち点72で得失点差24の4位・東京Vだ。

 最終節はいずれもアウェーゲームで迎えた。前半の45分間は3チームともに硬さが見られ、苦しい戦いを強いられる。

 清水は17位の水戸と対戦。勝てば自力で昇格が決まる優位な立場にあるのは間違いないところだったが、序盤はパスが繋がらず、アグレッシブな守備を見せる相手に攻め込まれるケースが目立った。ビルドアップが停滞し、前半はいい形でフィニッシュに持ち込む場面がほとんどなかったと言っていい。シュートも0本に終わっている。一方で水戸は7本を記録した。

 磐田も難しい戦いを強いられた。18位の栃木の方が積極的なプレーを見せ、序盤からチャンスを創出。実際、24分に福森健太のクロスから大島康樹に決められて栃木に先制を許した。昇格するために攻めるしかない磐田は、この失点を機にようやく攻撃的になり、41分に左CKの流れからドゥドゥがミドルシュートを放って同点に追いついた。とはいえ、本来のプレーができていたかと言うと、答えはノー。よく追いついたという印象だ。

 東京Vはすでに降格圏の21位が確定している大宮との試合に臨んだ。相手はホーム最終戦であり、気合い十分。気迫のこもったプレーを前に、思うような攻めができなかった。東京Vも磐田と同じく、まずは勝利をつかんで他会場の結果を待つしかない状況だったが、前半は攻めあぐねる場面が見られ、逆に攻め込まれる場面が目についた。

 前半を終えて清水は水戸と0−0、磐田は栃木と1−1、東京Vは大宮と0−0。勝ち越しを目指して後半を迎えることになった。

 試合時間が60分を越えると、それぞれの会場でゲームが一気に動く。まず61分、磐田が勝ち越しに成功する。ドゥドゥから松原后へとつながり、浮き球のパスを供給すると、松本昌也が飛び込んでヘディングシュート。勝ち越しゴールをスコアし、磐田が2−1と逆転に成功した。

 62分、清水が水戸にゴールを許す。自陣で高橋祐治がパスをカットされ、杉浦文哉にクロスを入れられると、最後は走り込んだ安藤瑞季にヘディングを決められた。

 63分、東京Vが欲しかった先制ゴールを記録した。自陣からカウンターを展開すると、中原輝がボックス内へボールを送り込む。森田晃樹がダイレクトで中央に折り返し、最後は59分に加藤蓮に代わってピッチに入った綱島悠斗が右足で合わせてネットを揺らした。

 この時点で、自動昇格の2位は磐田、3位東京V、4位清水と順位は変動。残り30分あまりの時間で、ここからどう状況を変えられるか、維持するのかの勝負となった。

 東京Vは78分に中原が右サイドからドリブルで運んでシュートを放ち、追加点をスコア。2−0とリードを広げた。清水も残り10分を切って、ついにゴールをつかむ。81分、チアゴ・サンタナが左からの山原怜音のクロスを頭で合わせて1−1の同点に追いつく。

 清水が逆転すれば清水。状況が変わらなければ磐田。東京Vは清水、磐田が同点以下で終われば、逆転昇格が叶う状況となった。

 そしてーー。

試合はそのまま動かず、決着。その結果、栃木を2−1で下した磐田が勝ち点を75に伸ばし、得失点差を30として2位となり、1年でJ1昇格を決めた。大宮を2−0で下した東京Vは同じく勝ち点を75まで積み上げたが、得失点差は26で4ポイント及ばず3位でフィニッシュ。清水は勝てば自動昇格が決まる2位という立場にありながら水戸に勝ちきれず。終盤に猛攻を仕掛けたが、1−1のドローに終わり、勝ち点74で4位に転落することになった。

 J2最終節の劇的なドラマはこうしてひとまず幕を閉じた。磐田が逆転で昇格を決め、東京Vと清水はJ1昇格プレーオフに臨むことになった。東京Vは千葉、清水は山形と対戦する。


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