考え方が変わったフロンターレ時代
――サンフレッチェ広島との首位攻防戦を経て、ホームでの川崎フロンターレ戦を迎えます。下田選手にとっては古巣になりますが、アウェーでの前回対戦はベンチ入りしながらも出番がなかったため、次の川崎F戦は出たい気持ちが強いのでは。
下田 フロンターレと試合をするのは純粋に楽しみです。お世話になったクラブですし、在籍していた期間に選手として成長させていただき、いろいろなことを学べたクラブなので、対戦を楽しみにしています。
――外から見つめる形でしたが、町田が1-0で勝利した前回対戦を振り返ってください。
下田 ショートカウンターに出て行く形を作れましたし、細かくボールをつないでくる相手のスキを突いて攻めるという町田の狙いがハマった試合でした。
――川崎F戦の前は広島を相手に今季初黒星を喫していました。広島戦での今季初黒星から、川崎F戦の勝利までどんなプロセスを経て結果を残したのでしょうか。
下田 フロンターレ戦に向けた準備期間に限らず、週あたまには反省ミーティングでの映像を通して、自分たちの課題を洗い出していきます。直前の試合で負けていた場合は、反省映像が多くなるのですが、同じ相手に二度負けないことや連敗をしないことは、黒田監督が口酸っぱく言ってきたことで、チームに根付いていることです。前回のフロンターレ戦は絶対に連敗はできないという、良いリバウンドメンタリティーが発揮された形です。
――以前、下田選手の“言語化能力”は、川崎F在籍時代の中村憲剛さんからの影響が大きかったと聞いたことがあります。
下田 憲剛さんは分け隔てなく教えてくれますし、1を聞いても10を教えてくれる感覚でいろいろな話をしてくださいました。僕のキャパシティの問題か、全てを理解できたわけではないのですが、素晴らしい選手から学び得ることは多かったです。
――どんな言葉が印象に残っていますか。
下田 試合に出ていなかったときに『自分で限界を作るな』ということは言われていました。『オレなんか……』という意識というか、試合に出たときも『試合のリズムを壊さなければいいや』くらいの意識のときもありましたが、『自分の限界を決めずにもっとできると思ってやったほうがいい』と言われたことをよく覚えています。
――大先輩からの金言ですね。
下田 もう全力で学んでいました。あと憲剛さんが言っていたのは『戦わないといけない』ということです。当時は同じポジションに(大島)僚太や田中碧(現リーズ=イングランド)、守田英正(現スポルティング=ポルトガル)らがいて、憲剛さんも含め、代表クラスの選手がいる中で、そういう選手と遜色なくプレーしないといけないという気持ちはありましたが、なぎ倒すというか、先発で出るという意識は足りませんでした。今振り返ると、『チームに馴染んで試合に出られればいいや』という感覚は多少ありました。
――ポジション争いのライバルがそうそうたるメンツですね。
下田 彼らはサッカーにひたむきでしたし、みんな芯があって、ブレなかったですね。良い意味で我は強いけど、聞く耳は持っていて、吸収しようという姿勢がありました。またどういうプレーヤーであるかを示す軸もあったと思います。フロンターレでの3シーズンは多くのトップレベルの選手と触れ合うことでサッカーに対する価値観や、意識が変わりました。