上写真=試合中、仲間に指示を送る下田北斗(写真◎J.LEAGUE)
取材・文◎郡司聡[サッカーライター]
写真◎郡司聡、J.LEAGUE
この時期は新しいことを取り入れるのは難しい
――FC町田はJ1昇格1年目ながらここまで優勝争いを繰り広げています。そんなチームの中で自分にできることとは何だと考えていますか。
下田 一番はピッチに出たら自分のストロングポイントを発揮して、チームに貢献することです。具体的にはチームとしての原理・原則を徹底しながら、最後はいろいろなアイディアが必要となってくる中で、自分はゴールやアシストでチームに貢献したいと思っています。
――最後の部分は個人の質に左右されますよね。
下田 攻撃でも守備でもやるべきことや相手の狙うべきことをコーチングスタッフから提示してもらう中で、やるべきことを遵守しますが、ラストパスの質やゴールを決め切ることに関しては、個人に依存せざるを得ません。最後のところはその選手が何をできるかだと思っていますし、自分自身は良いパスを出すことにこだわっています。また僕自身はセットプレーのキッカーを任されることも多いです。セットプレーはチームとしての大事な得点源である中で、キッカーとしての重要な役割も期待されています。
――守備面で求められていることは何でしょうか。
下田 例えばボランチは空いているゾーンを埋めることや、強くボールを奪いに行く姿勢を出すこと、出て行ったら戻るとか、そういったことが求められています。
――ボランチのパートナーによって、個人としての意識を変える部分はあるのでしょうか。
下田 シラ(白崎凌兵)や(仙頭)啓矢と組む際は、そこまで大きく変えることはないですが、攻守において、良い距離感でバランスを取るようにしています。ただボランチの中でも(柴戸)海はタイプが違うため、海がボールを狩りに行ったあとの空いたスペースをケアすることは特に意識しています。
――リーグ優勝を成し遂げるためには、ここまでやってきたことをブレずに続けるのか。多少新しいことを取り入れるのか。そのあたりのバランスはどう考えていますか。
下田 この時期は新しいことを取り入れるのは難しいです。ここまでやってきたことを徹底する中で、柔軟に各自のアイディアをいかしながら、マイナーチェンジをしていくことが大事になると思います。
――J1初挑戦のシーズンは、黒田剛監督も特に日常の練習の水準を上げることにこだわっています。
下田 普段の練習でやっているものがピッチでの差に表れます。それこそフロンターレで僕はサブでしたが、試合に出ると練習よりもスペースが見えたり、余裕を感じたりしていました。普段の練習から試合に出ていない選手も質を高く練習することが強くなるポイントだと捉えています。