J1に昇格を果たした横浜FCは、定着を目指してシーズンインしたが、開幕から厳しい戦いを強いられた。3日のアルビレックス新潟戦でタフに戦い、ようやく今季初勝利を手にしたが、問われるのはここから。巻き返しなるか。

上写真=今季初勝利を挙げた横浜FC。写真は左ユーリ・ララ、ブローダーセン、岩武(写真◎J .LEAGUE)

噛み合わせより守備の安定

 ついに横浜FCが勝利をつかんだ。第11節、ホームのニッパツ三ツ沢球技場にアルビレックス新潟を迎えた試合で、後半にユーリ・ララが決めたヘディングシュートを決勝点として1-0で逃げ切った。

 この日の横浜FCはこれまでの4バックを3バック(5バック)に変え、ボランチにも守備に特長のある和田拓也を今季初めて起用し、ユーリ・ララとコンビを組ませた。

 岩武克弥、ンドカ・ボニフェイス、吉野恭平と3人のCBに、ウイングバックには左にこれまで左サイドバックの林幸多郎だが、右は本来ウイングの近藤友喜が起用された。2シャドーに小川慶治朗と山下諒也、1トップはエース小川航基だ。攻撃時には3―4―2―1だが、守備に回れば5―4―1となる並びで、実際には5バックの時間が長かった。

「ここまで良い内容の試合もあったのですが、どうしても失点が多く、まずこれを減らさなければと考えた」と四方田修平監督は、その意図を説明。何よりまず守備を安定させることを重視しての変更だった。

 山下と小川慶の2シャドーは豊富な運動量で前線からプレスを仕掛け、ボランチのユーリ・ララと和田は中盤で相手に自由を与えず、最終ラインは体を張って相手の攻撃を阻止した。さらに負傷から復帰して3試合目のスタメン出場となったGKスベント・ブローダーセンも本来のプレーを取り戻して好守を披露、特にアディショナルタイムに入ったところで、新潟の三戸瞬介に抜け出されたシーンでは見事な反応で至近距離からのシュートを弾き出して、あわや同点のビンチを阻んだ。そういった守備面での奮闘で今季初の勝利とともに初の無失点も達成した。

 攻撃面でも2シャドーの二人がスペースへのランニングを繰り返し、両ウイングバックも前半こそ慣れないポジションに戸惑うところも見られたが、後半には近藤が決勝点を生み出すクロスを送り、林は小川航へのゴールを予感させるスルーパスや効果的な攻め上がりも見せて貢献した。

 出場した選手たちがそれぞれ、この日の役割を理解してハードワークしたことが勝利に繋がった。

 ただし、勝ち点3を呼び寄せた最大の要因は、システムの変更や個々のプレー強度もさることながら、チーム全体が勝利を目指す強い気持ちで臨み、最後まで途切れさせなかったことだろう。

 四方田監督は「(新潟の布陣に対しての)マッチアップだけを考えれば、4バックの方が理にかなっているのですが、ここまで勝てなくて何かを変える必要があると考えて決めました」と語り、対新潟への 対策というよりはチームに刺激を与えて士気を高めるためだったと明かした。 また「背水の陣で臨んだ。選手たちが90分間、ぶっ倒れるくらい頑張ってくれたこと」を勝因として真っ先に挙げている。

 むろん、この勝利を手放しで喜んではいられない。ようやく1勝を挙げたにすぎず、しかも新潟は昨季もJ2で対戦してお互いを知り尽くした相手。さらにこの日は連戦を考慮して前節からGK阿部航斗を除き、相手がフィールドプレーヤー10人を入れ替えてスタメンを組んでいたことも考え合わせなくてはならないだろう。監督も選手も重々承知だろうが、大事なのは今後だ。

 この日の気迫と集中力、プレーの強度を維持していけるかどうか。その点が問われる。

取材◎国吉好弘


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