川崎フロンターレが初黒星で苦しい立場に立たされている。4月27日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージI組で、蔚山現代に2-3で敗れて初黒星。首位からも転落した。残るは1試合。負けて問われるプライドを、広州FCにぶつけるだけだ。

上写真=山根視来の言葉に、敗戦の苦しさがにじみ出た(写真◎KAWASAKI FRONTALE)

■2022年4月27日 ACLグループI第5節(タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌス・スタジアム)
蔚山現代 3-2 川崎F
得点者:(蔚)レオナルド、オム・ウォンサン、ヴァレリ・カザイシュヴィリ
    (川)レアンドロ・ダミアン2

「前を向いて何ができるか」と鬼木監督

 勝てば首位突破へ大きく近づく第5節の蔚山現代戦。だが、川崎フロンターレは2-3で敗れた。スコアこそ1点差だが、ミスからゴールを献上して、多くの時間で2点差を追いかける苦しい90分だった。山根視来の言葉に、すべてが表されているかもしれない。

「失点が試合を難しくしてしまいました。あっさりやられているし、時間帯もよくなかった」

 14分に中央をやすやすと割られ、こぼれ球を蹴り込まれてまず1失点。20分には相手陣内でつないだパスをかっさらわれて、一気にカウンターで仕留められた。

「でもそれ以上に、こういう大事な試合で何もできない自分自身が腹立たしい。細かい連係が取りづらいグラウンド状態だし、相手が引いてきたのでなかなかスペースがありませんでした。だからこそ失点してはいけないというのはみんなわかっていたと思うけれど、点を取らなければいけないというメンタルと、でもいきづらいなというメンタルで前半から難しかった」

 序盤は押し込んでゴールに迫った。チャンスもあった。だが、7分に相手の凡ミスからゴール中央で拾ったレアンドロ・ダミアンのシュートはバーの上。「ボールを蹴る瞬間に浮いてしまってうまく当たらなかった」と本人が一番悔やむビッグチャンスだった。

 山根の言葉に戻ろう。

「失点がすべてで、こういうグラウンドだとそれが命取りになります。わかっていてやられてしまいました。さらに2点目を取られてしまって相手がメンタル的に楽になったと思うし、1点差にしたところで後半立ち上がりにも失点してしまった。タイミング、時間帯が悪すぎました」

 ボールが滑らずに跳ねるピッチコンディションで、パスが乱れて失点に直結した。状況に応じたプレー選択に改善の余地がある。

「こういうグラウンドなのでイレギュラーなミスは起こると思います。でも、そのあとの対応がどうだったか。もっと落ち着いて対応できたんじゃないかなと。そういうときに自分が何もできなかったのが情けなかった」

 不規則なボールの動きは、攻撃でも選手たちを悩ませた。

「ドリブルするにも足下でボールが動くし、細かいパスもなかなか難しかった。オニさん(鬼木達監督)に90分間出してもらっているなかで、2回ほどサイドチェンジでボールをもらうシーンがあったけれど、ちゃんと味方に届けられませんでした。どうしてもできなかったことに目がいってしまいます」

 小林悠は選手のキャラクターの差も指摘する。「グラウンドの状況の難しさはあるが、それはお互いさま。ただ、相手はハイボールに強い選手が多くて、はっきりしたプレーが多かった。そういう相手に対して追いかける展開になると難しい」。家長昭博も「自分たちがボールを握れる展開になることは分かっていました。その狙いと相手のカウンターは紙一重だったと思います。お互いの狙いが紙一重で相手の方が上でした」と認めるほかなかった。

 山根は「でも、下を向いていてもしょうがない。次もありますから」と最終戦に目を向ける。家長も「まだグループリーグ突破の可能性がなくなったわけではない。最後まで信じてやりたい」と奮い立たせる。この日2ゴールのレアンドロ・ダミアンも「自分たちができることは、最後の最後まであきらめないこと」。

 負けて苦しいからこそ、問われるものがある。鬼木達監督ももちろん、あきらめてはいない。

「(グループステージの突破は)かなり苦しくなったと思っています。ただ、自分たちは最後まであきらめることなく次のゲームに集中したい。スポーツの世界は負けるときも勝つときもありますが、そのあとに前を向いて何ができるかだと思います。チーム全員でもう一回前を向いてやっていきたい」

 広州FC戦に勝って、ジョホール・ダルル・タクジム対蔚山現代の結果を待つ。負けて試されるプライドを示すつもりだ。

【Next Game】
4月30日(土)18時 川崎F vs 広州FC DAZN独占配信


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