川崎フロンターレは今季、2人の移籍加入選手を獲得した。横浜FCでキャプテンを務めてきた瀬古樹、そして、北海道コンサドーレ札幌のテクニシャン、チャナティップである。タイの英雄が沖縄キャンプで新しいチームに慣れてきたいまを語った。

上写真=速さとうまさでチャナティップが王者に新しいパワーを注入する(写真提供◎川崎フロンターレ)

チャナティップらしいサッカーで

「ヤサシイ、デスネ」

 チャナティップは川崎フロンターレの新しい仲間たち、鬼木達監督やチームメートに「チャナティップらしいサッカーをやってほしい」と言われるそうだ。では、チャナティップらしいというプレーは、自身ではどう感じているのか。

「自分の口で表現するのは難しいですね」と笑いながら出した答えが、「優しい」なのだった。

 スピードとテクニックの融合。それがプレーの特徴だ。ただそれが独りよがりでは、チームとして生かすことはできない。だから「優しい」というのは、ていねいさと同義だろう。仲間のためにプレーする優しさ。

 158センチと小柄だから、相手とマッチアップするのではなく、ボールを長く持たずに仲間に預けてから空いた場所に入っていくことが自分の持ち味だとも話している。優しく預けて、優しく戻してもらう。優しさの交換が、チャンピオンチームの新しい魅力になるのだ。

 例えばそれは、レアンドロ・ダミアンとの間でたくさん見られるかもしれない。キャンプ地に合流するチャナティップをレアンドロ・ダミアンが迎えるなど、クラブの公式SNSで仲のいい様子が公開されている。

「同じチームではない頃からSNSを通してやり取りはしていたんです。こうして同じチームになることができて練習で言われたのは、みんなと同じように、チャナティップらしいサッカーで速さとうまさを生かしてほしいということでした。自分がポストプレーヤーとしてボールを受けるから、チャナティップが走ったところに出すよ、そういうプレーをしてほしい、と言ってくれました」

 ホットラインのイメージは、もうできているのだ。

 鬼木達監督はチャナティップについて「攻撃のポジションならどこでもできると思います」と評価している。4-3-3システムならインサイドハーフもウイングも、4-4-2ならトップ下もサイドハーフも、そして北海道コンサドーレ札幌のときと同じシャドーも、と具体的に話している。レアンドロ・ダミアンだけではなく、このチームにはほかにも優しいパスを返してくれるテクニシャンばかりがいる。それぞれとどんなケミストリーが起こるのか、楽しみが募る。

 その笑顔もまた、このクラブの新しい魅力になりそうだ。屈託ない満面の笑みが、ファン・サポーターの心をつかんでいる。

「笑顔は自分らしいというか、これしかできないことなんです。サッカーの部分では真剣にピッチで戦って楽しむことで、笑顔が出るようになりました。ピッチの外でも思い切り笑って、みんなに見せていこうと思います」

 タイは「微笑みの国」とも言われるが、その国の英雄が、最高の笑顔で躍動するシーズンになりそうだ。


This article is a sponsored article by
''.