12月4日に行われた2021明治安田生命J1リーグ最終節で、優勝を決めている川崎フロンターレが臨んだのは2位横浜F・マリノスとのウェーゲーム。シーズンの締めくくりに相応しい頂上決戦になったが、谷口彰悟は止めることができなかった失点を悔やむばかりだった。

上写真=谷口彰悟は失点のシーンでブロックしきれなかったことを悔やんだ(写真◎J.LEAGUE)

■2021年12月4日 明治安田生命J1リーグ第38節(@日産ス/観衆30,657人)
横浜FM 1-1 川崎F
得点者:(横)前田大然
    (川)レアンドロ・ダミアン

「足を合わせきれなかった」

 優勝チームの川崎フロンターレと2位チームの横浜F・マリノスが相まみえる最終節決戦。レアンドロ・ダミアンと前田大然の得点王争いの直接対決でもある。最上級の試合を戦うつもりが、川崎Fにとっては満足できない前半だった。

「なかなか自分たちの試合運びができなかったと思います。特に前半は相手のスピーディーなプレッシャーや強度のところで過度に感じすぎました。相手が来ていないところで簡単に下げちゃったり、そういう部分での余裕がゲームの中で作れなかった」

 川崎Fにしては珍しい現象を、キャプテンの谷口彰悟は指摘した。

 後半開始から大島僚太が入ると能動的にボールを動かすことができるようになって、ようやくいつものフロンターレらしくなった。その流れで先制ゴールが生まれている。得点ランク単独トップとなる23ゴール目をレアンドロ・ダミアンが決めたもので、67分に右からの家長昭博のクロスをヘッドで叩きつけたボールが大きく弾んで、GK高丘陽平を越えてゴールに飛び込んだ。

 しかしここから、横浜FMは選手交代とポジショニングの変化を加えてきた。4トップ気味に前線に人をかけて、ぐいぐいと押し込んでくる。

「こちらが得点してから、人を変えて配置を変えて、攻撃的に来た印象があります。逆に言えば、出てくればこっちも追加点を狙うために攻める時間ができると考えていました」

 相手が前に出てくる勢いを反作用の力に変えてひっくり返す狙いだ。だが、谷口が考えていたほど、うまくいかなかった。

「戦い方は考えながらやっていました。ただ、パワーのあるチームなので、受けてしまうというか、戻らなければいけなくなる部分がありました。そこは駆け引きというかやり合いの部分で、映像を見ながら反省していきたい」

 横浜FMから見て右に仲川輝人、左にエウベルが大きく張り出していて、中央ではレオ・セアラと前田大然が構える。その4人にどんどんボールが出てきて、前半と同じような我慢の時間がまたやって来た。そこで、失点してしまう。

 74分、中央でのFKに対して準備している間に素早くリスタートされた。横浜FMの左サイドに回されれてエウベルがセンタリング、レオ・セアラが打って、山村和也がブロックしたもののこぼれ球を蹴り込まれた。よりによって、前田大然に。しかも、谷口の股の下を抜かれて。

「最後はクロス絡みでこぼれたところで前田選手に股を抜かれましたが、彼は常にペナルティーエリアの中で足を止めていないし、こぼれ球に反応するのはスカウティングで理解していたけれど、一瞬の速さはさすがです。寄せていたつもりでしたけど、足を合わせきれなかった。非常に悔しいです」

 悔恨の言葉は裏返せば前田への称賛にもつながるが、これでレアンドロ・ダミアンに再び並ばれことになった。

「ダミアンはできれば単独で得点王にしてあげたかったので、申し訳ないです。でもこれも、今後の糧として成長につなげたい」

 大差で制したリーグの最後に、気を引き締め直させられるような試合になった。これから迎える天皇杯準決勝、そして勝ち抜いて戦うつもりの決勝に向けて、ライバルから大事な教訓をはなむけに渡された。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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