U-24日本代表の活動を終えて川崎フロンターレに戻ってきた旗手怜央。U-24アルゼンチン代表との親善試合は2試合ともプレーした。そこで得た体感を生かし、「こだわらないこだわり」でさらにオリジナルな選手になっていく。

上写真=「五輪に出るよりは、出て活躍したい思いが強くなった」と旗手怜央。多くの刺激を受けて帰ってきた(写真◎スクリーンショット)

「裏へ走ることの重要性もこのチームで学んできた」

 旗手怜央がU-24日本代表の一員として戦った、U-24アルゼンチン代表との第1戦。17分にビッグプレーがあった。

 今季のJ1で輝いている左サイドバックでの先発。4-2-3-1の並びで、左サイドハーフには三笘薫がいる。「フロンターレライン」の縦関係に加え、左のボランチは守備能力の高い中山雄太で、攻撃参加したあとのカバーは万全。そしてトップ下には久保建英がいる。

 その17分、左サイドでボールを受けた旗手は中にいた久保に預けて、斜め右前にダッシュ。見事に相手の背中を取った。そこへ久保からのさすがのパスがすっと入ってくる。センタリングが合わずにゴールにはならなかったものの、最終ラインの裏を破るコンビネーションで強豪アルゼンチンの守備を崩した気持ちのいいシーンだった。

「日頃から裏に走っていくことの重要性はチーム(川崎F)ですごく言われていますし、そこでパスが出てこなかったとしても、走ったことによって久保選手がプレーを選択する時間を作れたと思います。そういう裏へ走ることの重要性もこのチームで学んできたので、あのワンシーンだけだったけれど、それがしっかり出せました」

 川崎Fでも左サイドの外側から、あるいは内側から相手最終ラインの裏に飛び出す奔放なプレーで(ときには逆サイドにも!)相手を困惑させてきた。普段から見せているプレーが国際試合でも通用したことは、手応えの一つに結びついた。

 第2戦では83分から食野亮太郎に代わっての登場となり、今度は短い時間ながらトップ下に入った。この2試合で収穫と反省は半分半分だという。

「いつもと違うような形であったとしてもできないといけないのは、代表の宿命です。いつもやっているプレーというよりは、違ったところで適応する能力が大事だなと。海外組の選手やアルゼンチンとやって、球際でもっともっと勝っていかないといけないと、とも思いました」

 普段どおり、ならできて当然。異なる局面で何ができるのか、の部分で差が出るのが代表チームだ、というのが偽らざる体感だった。

 川崎Fでは昨季の左サイドバックのレギュラー、登里享平が負傷から復帰の途上にある。チームに戻った旗手にとっても、また新しい競争の始まりだ。

「どこのポジションをやってもそうですけど、自分のプレーを出さないといけないと思っていますし、今年はサイドバックをやっている中でも自分らしいプレーはできています。ノボリさんが復帰してインサイドハーフとかウイングでプレーするとしても自分らしいプレーをしたいと常に思っているので、ポジションにこだわりを持たず、自分らしいプレーをどのポジションでもやりたいですね」

 こだわりのないこだわりが、旗手をさらに強くする。


This article is a sponsored article by
''.