名古屋グランパスが4連勝と好調だ。すべて1点差の勝利はまさに「マッシモの流儀」という印象だが、準備で自信を生み、試合でぶつける好循環が生まれている。開幕5連勝すればクラブ新記録。マッシモ・フィッカデンティ監督はもちろん勝つつもりだ。

上写真=フィッカデンティ監督の哲学をさらに強固に表現する名古屋グランパス。開幕5連勝の新記録はなるか(写真◎Getty Images)

「勝つ理由がもう一つ加わった」

「自信を持って準備しているからこそ、こちらはぶつけることができるのです」

 マッシモ・フィッカデンティ監督が説くのは、十全な準備で自信を手にすべし、という格言だ。

 名古屋グランパスが4連勝を達成した。アビスパ福岡に2-1、ガンバ大阪戦は新型コロナウイルスの影響でひとまず中止となったが、北海道コンサドーレ札幌、柏レイソル、ヴィッセル神戸にはすべて1-0と、すべて1点差。その足跡からは厳しい戦いをくぐり抜けてきた強靭さを感じることができる。それを実現したのが「準備」だというわけだ。

「チームの特徴として、センターフォワードタイプの選手がどっしりと構えて攻めていく、というメンバー構成ではありません。誰かが20点を取って、周りの選手がアシストに専念するという構成ではなくて、逆に、ゴールする力も持っている選手でいろいろなやり方を毎試合探していって、それぞれの試合に合わせてトレーニングで準備していることが求められています」

 だから、試合になれば持てる力をぶつけるだけでいい。

「練習の中で意識してやっていくことで、試合の戦い方に自信ができます。その自信を持って準備してきたからこそ、こちらがぶつけることができるのです。それを相手が受けきれなければ押しきれますし、受けられたらさらに違う手、違う手と出していけばいい。そうやってチームとして動くときに、一体になってぱっぱっと動ける組織の力強さが大きな成長なのではないでしょうか」

 新しい選手を加えてさらにパワーが増した今年のチームが、4連勝という成功体験を経てどんどん進化していく。その様子を目の当たりにして、フィッカデンティ監督も満足げだ。

「さらにどこを求めていくか。攻撃ではそれぞれの選手の特徴が出てきていています。素晴らしいクオリティーを違った形で持っているので、それをどう組み合わせるか、どう引き出し合っていくのかについて、もっともっと求めていきたいと思っています。そこができていないからどうしよう、というよりは、すでにそういう方向に向かっています。ですから、今後また1カ月、2カ月してから、成長を強く感じている、というコメントを皆さんにお届けできればと思っています」

 そんな好循環の中で次に戦う相手は横浜FC。4連敗中だ。

「選手の特徴やクオリティーからすると、テクニックのあるチームと表現したいと思います。札幌戦(1-5)こそ早い時間に点を取られてしまって試合という形に持っていけないようでしたが、他の試合に関しては、例えば大分戦(1-2)は内容としてはまったく違う結果になってもおかしくなかったですし、セレッソ戦(1-4)もロスタイムに近いところで点差がつきましたが、1-2のスコアになる前にも違ったスコアに試合が動いたり、同点、逆転の可能性は大いに含んだ内容だったと思います。結果が出ないで苦しいと思っているでしょうが、質の高いプレーをしていると見ているので、いつも通りしっかり警戒して準備したいと思います」

 相変わらずの徹底したアラートぶりだが、勝てば5連勝。クラブ新記録だ。

「あくまで連勝記録をつくるためではなく、一戦一戦勝つことが大事です。ただ、ポジティブな新記録はチームに取って必ずいいものをもたらすと思っています。もともと勝たなければいけない試合ですが、勝つ理由がもう一つ加わったと感じています」

 記録は関係ない、とでも言っておいて、数字など意識しないと逃げることもできただろうが、そうはしなかった。勝つべき理由など、いくらあっても構わないのだ。


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