明治安田生命J1リーグで、名古屋グランパスが柏レイソルを1-0で下して暫定2位に浮上した。その中心になっているのが、センターバックの中谷進之介だ。この日は古巣対決となったが、感傷に浸ることができなかった理由とは。

上写真=オルンガに一歩も引かなかった中谷進之介。仕事をさせなかった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年12月5日 J1リーグ第31節(@三共F柏:観衆4,991人)
柏 0-1 名古屋
得点者:(名)相馬勇紀

「やろうとしていた守備がはまった」

 2年ぶりの日立台だ。柏レイソルのアカデミーで育ったセンターバックは今年、超過密日程にもかかわらず名古屋グランパスの最終ラインでフルタイム出場を続ける鉄人になった。その姿を懐かしのスタジアムで存分に披露、1-0の勝利でキーマンの一人になって、心からの笑顔がこぼれた。

「まずは、やろうとしていた守備がはまった試合でした。オルンガがいるので後ろを空けないように意識してやれたのが成果として出た試合でした」

 守備の戦略がはまった。センターバックとしては会心だ。

「監督から後ろのスペースをなくそうと話があったので、ある程度は引こうと話していました。グランパスとレイソルは似ているところがあって、ちょっとしたミスを見逃さずに得点するサッカーです。我慢比べだったので前に行く意識はありませんでした」

 柏はオルンガを最前線に配置して、そこにクリスティアーノと江坂任を絡ませる攻撃が相手にはやっかいだ。だからこそ、守る方としては集中力が自然に研ぎ澄まされていく。

「一瞬も気が抜けませんでした。前回のような失点がないように、リスクマネジメントしながらの堅い試合になったと思います」

 8月1日に第8節で対戦したときには一瞬のスキを突かれて最終ラインの背後にロングパスを通され、オルンガにワンタッチゴールを決められて0-1で敗れている。だからこそ、背後を消すという割り切りに考えが至るのも自然な流れだったし、最後に猛攻に次ぐ猛攻を仕掛けられてもすべてはね返すことができたのだ。

 マッシモ・フィッカデンティ監督は、シビアな戦いを勇敢に乗り切った守備を称えた。

「スペースをなくすということはセンターバック2人だけでどうこうできる話ではなくて、全体でできたわけです。危険な選手に対してどういうシーンでどうプレーすべきかという判断が正確でした。その判断を間違わないようにとずっと話していましたから、1対1での対応も連係の部分も判断が良かったと思います」

 中谷だけではなく、コンビを組む丸山祐市も同じくフルタイム出場中で、鉄人コンビがこの日も高くて厚い壁になった。

 古巣対決ではあったが、「レイソルに対しての思いよりもグランパス自体が負けられない状況で、上位にい続けるために大事な試合になると思っていました」と感傷に浸る間もなく勝利へのタスクに没頭した。それもあと2試合。ケガによる欠場も出場停止もないのは、本当に称賛に値する。そんな偉大なセンターバックコンビでのフルタイム出場コンプリートも、もう目の前だ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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