上写真=稲垣祥は今年も名古屋の中盤を引き締めていく(写真提供◎名古屋グランパス)
「和輝は賢くて、しっかり自分の思いを話せる選手です」
在籍1シーズンで、稲垣祥が名古屋グランパスの中盤の「ボス」になった。
サンフレッチェ広島から移籍してきて最初のシーズンである2020年は、J1リーグで全34試合、ルヴァンカップで全4試合に出場。リーグ戦だけ見ればキャリアハイ、合計38試合は、ヴァンフォーレ甲府時代の2016年に次ぐ2番目に多い出場試合数になった。
タフな守備から鋭い攻撃を仕掛ける、マッシモ・フィッカデンティ監督のサッカーをピッチでコントロールするのが、ボランチに入る背番号15の役割だ。自らの特徴と監督のスタイルがフィットした幸せな関係。
「意識の変化はないですね。昨年同様にチームのバランスを考えながらやっていきたい。相手の組み合わせや流れの中で顔を出して、冷静にフィニッシュにいくのは自分の特徴でもありますが、ボランチにはバランスを崩さないことが求められています。そこの優先順位は変わりません」
稲垣がバランス感覚を失わない、ということは、名古屋の堅守もまた変わらない、と言えるだろう。
今季は同じポジションに浦和レッズから長澤和輝も入ってきて、さらに強力なパートナーを得た。昨季、ともに中盤を制圧してきた米本拓司とのコンビも健在だ。
「よねくん(米本)は去年からやって分かっているし、(長澤)和輝は賢くて、しっかり自分の思いを話せる選手です。試合をやりながら合わせていければいいと思いますし、そういった面は心配していないです」
長澤自身もまずは名古屋のサッカーを理解することを最優先にしているから、米本も含めてここが響き合ってくれば、楽しみだ。
実戦形式のトレーニングが増えたという沖縄キャンプでは、新加入選手との意識のすり合わせに力を注ぐ。長澤はもちろんだが、柿谷曜一朗、齋藤学のアタッカー陣との連係も積み上げている。
「新加入選手が入ってもチームのベースがあるので、その中でどう特徴を生かせるかです。そういったチームの形の中から、昨年よりもバリエーションは増やせるかなと思います」
ボランチとしてはしっかりバランスを整えて、彼らの特徴を生かしていきたい。そうすれば攻撃の幅が広がる、という実感があるのは心強い。
「まずはコンディションを上げなければいけないですし、全員がそうです。そこには次の試合でしっかり開始からチャレンジしていきたいと思います。守備のところでどうやって相手のビルドアップをはめるか、最後にゴール前でどう守るかはまだまだ細かい連係が必要です。攻撃では組み立てもフィニッシュワークのところもまだまだ上げていかなければいけないですけど、上げていけるメンバーだと思うので、話し合いながらやっていきたいと思います」
2021年も名古屋のミッドフィールドに稲垣あり。