上写真=2位浮上に向けて力が試される残り3試合。マッシモ・フィッカデンティ監督が求めるのは勝利だけではない(写真◎Getty Images)
「名古屋がいるべき場所にいる」
柏レイソル、横浜FC、サンフレッチェ広島。暫定3位の名古屋グランパスが順位を一つ上げるための戦いも、残り3試合となった。当然すべての試合で勝利を収めた上で、暫定2位のガンバ大阪が取りこぼすのを待ち、下から突き上げてくるセレッソ大阪などの追撃をかわす必要がある。
「目の前の一戦に集中して勝つために準備する」と、マッシモ・フィッカデンティ監督はゲームへの向かい方は変わらないというが、残り3試合を大事に戦う上で、選手たちに大切なことを求めている。
一つは「誇り」。
「今年はシーズンの最初の方からずっと順位がいいポジションにいて、続けられています。ここ何年かの流れから考えれば、成績を見ただけでも違うポジションにやっといることができているな、と思われるかもしれませんが、名古屋がいるべき場所にいると見られたいですし、選手にもそういう意地や誇りを持ってもらいたいと思います」
勝者のメンタリティーだ。自分たちは強いのだ、という事実に基づいた自信は大きな力になる。
「この順位にいることをただただ喜んでいるだけではいけないし、自分たちで勝ち取ったというところでは達成感は感じてもらいたいですけれども、これが本当に当たり前になる、最低限になる、そして常に優勝を争う、もっと上に行かなければいけないんだという感覚を持たなければいけないと、最初から言い続けながらやってきた上でこういう取り組みができています」
ビッグクラブであるための正しいふるまいを続けるべきだ、と訴えてきて、少しずつそれが現実のものになり始めている。
もう一つが、改めて自分たちがいま立っている場所への感謝だ。
「この1年はほかのチームにとっても、サッカー以外でもどんな仕事をされている方にとっても難しい1年であり、その中で私たちが集中して作業ができた背景にはやっぱり、ありふれた言葉になってしまうかもしれませんけれども、多くの方に支えられたということがあります。サポーターの皆さんの力もありますし、スポンサーの方だったり、ここですべてを挙げることはできないですけれども、そうした方々への思いがあります。残り3試合をどうとらえるかということも、そこを強調しながら、クラブと私自身と選手たちにはもうひと踏ん張りしなきゃいけないですし、頑張る理由があるだろうということを選手たちに伝えて、力を引き出してもらいたいと思います」
コロナ禍によって苦しんでいる人がいる。サッカーができる幸せをもう一度、しっかりと心に留めて、それを残りの270分で表現しなければならない。それこそが頑張る理由だ。