生粋のボールハンター、米本拓司が帰ってきた。明治安田生命J1リーグ第13節の北海道コンサドーレ札幌戦でベンチ入り。好調の名古屋グランパスにこの男が加わったのだから、さらなる上昇は約束されたのかもしれない。

上写真=米本が帰ってきて、名古屋がまた強くなる!(写真◎J.LEAGUE)

「カウンターはすごく脅威に感じます」

 もしかしたら、半分だけ帰ってきた、という感覚かもしれない。米本拓司が負傷から復帰して、明治安田生命J1リーグ第13節の北海道コンサドーレ札幌戦で念願のベンチ入り。ただ、ここでは出番がないまま0-0のドローを見届けた。

「やれることをしっかりやって、復帰時期を少しでも早める努力をしていたので、予定通り戻ってくることができたかなと思います

「正直なところ、全体合流から3日で遠征メンバーに入ったので、不安なところはたくさんありましたし、どれだけできるか分からなかった。まだ、試合に出てみないと分からないかなという感じです」

 ケガ開けのベストではない状態だとしても遠征に連れていく。マッシモ・フィッカデンティ監督からの信頼がいかに厚いかを物語るエピソードだ。

 不在の間、ボランチのコンビは稲垣祥とジョアン・シミッチの組み合わせで安定してきて、米本も「いい関係でできている」と見ていたという。まだまだ続く連戦においては、そこに自分が加わることでさらにパワーアップさせるイメージも湧いていて、「どっちと組んでもお互いがやりやすいように、特徴を生かしてあげたいと考えていて、いい効果が生まれると思います」と感じている。

「去年は自分自身がうまくなるために来たから、個人的にうまくなりたいという方に偏りがちでした。いまはチームとして結果を出したいと思います。みんなも同じ方向を向いていて、なおかつ、自分のパフォーマンスで特徴を還元できるようにという考えに変わってきていると思います」

 そんな意識の進化にあって、米本が還元できる特徴は、もちろん自慢のボールハントと、もう一つ。

「手数をかける攻撃より速い攻撃をフィッカデンティ監督がやりたいので、自分は奪ってから最初のパスは前につけることを意識しています」

 その一本のパスで攻撃がスピードアップもできるし、スローダウンしてしまうこともある。速ければすべてがいいわけでも、遅ければすべてが悪いわけではないが、いまの名古屋のスピード感に大切に、米本自身も「最初のパス」で合わせていくつもりだ。

 連戦の中で次のゲームは一発勝負のカップ戦。JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝でFC東京と対戦する。

「しっかり守って、前にはうまくて速くて強い選手がいるチームです。こちらが奪われてからのカウンターはすごく脅威に感じます。試合に出たら、そこを止めることが一番必要だと思いますし、球際を戦う部分で上回ることができれば、勝機はあります。サッカーの本質にフォーカスして、入りからしっかり戦えればいいと思います」

 8月15日にはリーグ戦で対戦していて、0-1で敗れている。しかし、米本はリハビリで出場していない。だからこそ、古巣相手のこのゲームに復帰後の初出場を果たして、準決勝に駒を進める活躍をしたい。

「チームのカラーでもありますけど、まずは失点しないことが大事です。先制点を食らってこちらが前がかりになって、逆に2点目を取られると厳しい展開になります。前からアグレッシブにいくところは崩してはいけないし、逆に1点を取ってしまえば優位な状況になります。だから、まずは失点しないこと」

 勝手知ったるかつての仲間たちの前に、堂々と立ちはだかる準備はできている。


This article is a sponsored article by
''.