上写真=守田は神戸戦では途中出場して守備で貢献(写真◎Getty Images)
「あそこで決まっていれば…」
「自分のせいだと思います」
J1第12節で名古屋グランパスに敗れて今季初黒星、連勝記録が10でストップしたその試合を、守田はそう断じている。
「決めないといけないと思います、あれは…」と自分に言い聞かせるように振り返ったのは、開始から間もない5分のシーンだ。右サイドをきれいに破って家長昭博がボールを持つと、近寄るように斜めに入っていってパスを受け、ゴールエリアの角のあたりから右足できっちり合わせるようにダイレクトで蹴り込んだ。GKランゲラックを破って先制、と思った次の瞬間、カバーに入ったDF中谷進之介の足に当たって弾き返され、続けて下田北斗が打つのだが、これも中谷にブロックされた。
「あそこで決まっていれば一気に変われますし、こっちの流れで試合を進められたと思うんです」
自分自身に大きな反省の矢印を向けた3日後、第24節ヴィッセル神戸戦では55分から途中出場。名古屋戦でプレーしたアンカーではなく、右サイドバックに送り込まれた。この時点で1-2とリードを許していたから、もちろん守備を整え直すこととゴールにつながるプレーをすることがミッションになる。
「ビルドアップのところでボールを握ることを意識して入りました。ボールに触って相手のプレッシャーをはがすために。あとは、相手のウイングバックの酒井高徳選手に圧をかけて簡単に前を向かせないようにしました。こちらのラインを上げることができたのは、自分のその守備がしっかりできたからだと思います」
攻撃の悔しさを守備の鋭さで補って、徐々に盛り返して、旗手怜央のゴールで勝ち点1を拾ったのだった。
このアウェーの連戦で1分け1敗と少し足踏みすることになったが、連敗しなかったことをポジティブにとらえる意識はチーム内できちんと共有されている。
「内容はどうあれ、しっかり勝ち点3を取ることが大事になってきます。いまは守備の部分で相手に合わせ過ぎというか受けに入ってしまっているのがいけないところで、選手もしっくり来ていません。いままでやってきた守備のはめ方をもう一度やれば縦に速い攻撃につながるので、そこを目指したいと思います」
その意味ではやや「フロンターレらしさ」を欠いたのかもしれないが、それが分かったことが何よりの収穫。
「僕たちは連勝してきましたし首位にいますけど、一つ言えるのは、あくまで発展途上であって完成形ではないということです。爆発的な攻撃力は僕たち自身も強みだと感じていますが、裏返せばいい守備からいい攻撃ができているということです。相手の配置やボールの握り方でこちらの守備は変わっていくのですが、そこを柔軟に変えていった結果、歪みが出て、いまこういう負けや同点になっています。ただ、結果はどうあれ、いろんなことに柔軟に取り組んで、その中で何が最善なのかという選択を最終的にできればいい。いまは段階を踏んでいる状態だと思います」
あれだけ魅力的なサッカーを見せても、未完成。そう言われてしまえば、どうしても完成形が見たくなる。それが叶う日が楽しみだ。