上写真=川崎Fを追撃するために、ランゲラックの守備は不可欠だ(写真◎Getty Images)
1パーセントのことにフォーカス
川崎フロンターレの連勝を10で止めたのは、やはり名古屋グランパスだった。マッシモ・フィッカデンティ監督がもたらした守備の「堅」と攻撃の「速」の哲学が浸透したチームは、最高のゲームを繰り広げた上で1-0で勝ちきってみせた。内容と結果の両方でこの重要な勝利を実現させたからこそ、価値がある。
ゴール前に立ちはだかって最後尾から仲間と戦ったランゲラックは「本当にいい状態ですね。結果が出ていてチームが乗っています。プレーの内容も精神面もとても良くて、試合前から勝てるという気持ちがみんなの中にあります」と表情は明るい。「どの国でプレーしていても大事なのは勢いだと感じていて、いまそれがあります」と充実感を隠さない。
好調の原因はいろいろだが、ランゲラックが認めるその一つが、連敗していないこと。当たり前のことかもしれないが、実行に移すことができるチームは多くはない。現時点ですでに、川崎フロンターレ、FC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、そして名古屋のみ。
「去年やその前と違うのは、続けて負けないところ。もちろんリーグ戦だからどうしても負ける試合もありますが、レイソル戦で負けても連敗しなかったし、FC東京戦で負けてからも次の試合で盛り返しています。一度負けても、メンタル的に次は負けないと思えるようになっているんです」
確かに第8節の柏レイソル戦は0-1で今季初黒星を喫したが、続く浦和レッズ戦ではうっぷんを晴らすような6-2の圧勝。第10節のFC東京戦でも同じく0-1で敗れながら、次の湘南ベルマーレ戦ではあきらめずに戦って、最後の最後に決める粘りを見せて1-0で振り切っている。
そんなチームの空気感を表したのが、「Depth」と「1% Things」という言葉だ。
「いまは誰がプレーしても、誰がベンチから出ていっても素晴らしい仕事をします。必ず効果的なプレーをしてくれています。質の高いクオリティーを持った選手たちがいい方向を向いています」という状態を称して、「総合的に深み(depth)があると思います」と表現するのだ。そして、「細かいところにこだわって、1パーセントのこと(1% things)にフォーカスしています。それが大きな違いになってくるんです」とも。
8月29日からはまた5連戦だ。名古屋の1試合平均失点0.73はもちろんJ1でベストの数値。最強の盾を携えて乗り切ってみせる。
「守備力のところは基礎がしっかりできていると思います。1-0だった川崎戦や湘南戦も守備が安定していました。後ろがしっかりすれば、点を取る勢いが増すと思いますよ」
攻撃の勢いをブーストさせるためにも、“ミチ”はこれからも守って守って守り抜く。