ビッグマッチがやって来る。J1第12節で暫定3位の名古屋グランパスが迎えるのが、首位の川崎フロンターレ。前節で10連勝を達成した驚異のチームを相手に、マッシモ・フィッカデンティ監督と選手たちはどう立ち向かうのか。

上写真=川崎Fとのビッグマッチは名古屋にとって落とせない一戦だ(写真◎Getty Images)

それでもやってくる、という強さ

 マッシモ・フィッカデンティ監督は決然としていた。リーグ記録の10連勝、1試合平均得点が3.0点という攻撃力を見せつける首位の川崎フロンターレと激突する次節のビッグマッチを、独特の言葉で表現してみせた。

「最終的にグラウンドでどういうプレーをしたかによって勝ち点が与えられるわけではないのがサッカーです。しかし今回は、グラウンドで素晴らしかったチームが勝ち点を挙げる試合になるのではないでしょうか」

 つまり、サッカーとして正しく評価される90分になると予言するのだ。

 ということはつまり、名古屋グランパスも真っ向から戦うという意思表示。勝利のために、二つの基準を示した。

「クオリティーの高いプレー、そしてアグレッシブさ。その二つをベースにした戦い方になる」

 8月12日にJリーグYBCルヴァンカップで対戦していて、2-2のドロー。1分に相馬勇紀が先制、7分にもガブリエル・シャビエルが追加点を挙げたが、ルーキーの三笘薫に6分と38分に2発浴びたこのゲームの記憶はまだ新しい。「カップ戦ではフィニッシュさえ良ければというシーンもあったし、実際にゴールも奪った」とフィッカデンティ監督。「最初の15分はうちの時間帯だったし、展開としてはそうなることを目指さなければいけない」とイメージしている。

 クオリティーの高いプレー、とはつまり「自分たちでボールを持つ時間を長くすることです。持つこと怖がらずに自分たちが主体となるゲームに持っていく」こと。もちろん川崎Fがこれまで、自在にボールを操りながら次々にゴールを陥れてきているのは分かっている。しかし、自信があるのだ。

「攻撃陣は(負傷の)阿部(浩之)以外はプレーできる状態にあります。だからこそ、出る機会があったときに最大の力を出そうというスピリットをみんなが持っています。それをチームのために出すというバランスも備えています」

 前回のルヴァンカップでは、前所属のサガン鳥栖で出場したため、エースの金崎夢生が規則の関係で出場できなかった。しかし、今回は堂々とプレーできる。先日の対戦にはなかった、大きなアドバンテージだ。

 もちろん、川崎Fの強さにはリスペクトの気持ちを持っている。

「川崎にはこれをやらせては危ないからやらせないようにしよう、とプレーしても、それでもやってくるという強さがある。彼らは自信を持って、うまくいくまでしつこく続けるという武器がある。それを出させないようにしなければならない」

 そのために、ボールを怖がらずに持とう。そして激しく戦おう。フィッカデンティ監督はこの思いを、信頼する選手たちに託す。


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