名古屋グランパスで負傷者が続出している。8月3日にマッシモ・フィッカデンティ監督がオンライン会見に登場し、連戦におけるマネジメントの難しさを明かした。しかし、意外だったのがその方法。なるほどと思わせる内容だった。

上写真=柏戦で初黒星。負傷者続出。それでもフィッカデンティ監督は前を向く(写真◎J.LEAGUE)

早くも訪れた「総力戦」

 8月を迎えた名古屋グランパスが大ピンチ!? リーグ戦では第8節で柏レイソルに0-1と今季初の敗戦を喫したが、それ以上に大変なのが負傷者。7月22日の大分トリニータ戦で痛めた米本拓司が左第3腰椎横突起骨折と診断されて全治約4週間。同じ試合で阿部浩之、稲垣祥もケガにより交代している。ガブリエル・シャビエルも負傷し、柏戦を終えた段階で金崎夢生や前田直輝も接触プレーで少し痛めたということだ。

 というわけで、マッシモ・フィッカデンティ監督は8月5日のルヴァンカップ、清水エスパルス戦はメンバーを組むのも一苦労だと明かす。「誰が出る、ということよりも、残っている選手全員がスタンバイしてくれているので、総力戦という形で戦わなければいけない」のだ。

 連戦とケガについては、過密日程が決まった段階からどのクラブも懸念材料として挙げていて、加えて名古屋の場合はこれまでに複数の選手や関係者が新型コロナウイルスに感染してきた。非常に厳しい状況が続くが、悪条件に屈しないのが、フィッカデンティ監督のポリシーでもある。「自分たち次第で変えられることは変えてやっていこう」)と選手に話しかけた姿勢は、もちろん崩すつもりはない。

 だからこそ、チームを預かる指揮官の腕の見せどころでもある。ルヴァンカップはレギュレーションが変わってグループステージは3試合のみ。すでに1勝しているだけに、優位な状況だ。

「残り2試合でどのチームにも突破の可能性があります。私たちももちろん突破したいという位置づけです。一方で、この日程と、ケガ人が7、8人いてユースの選手も含めてやっと18人のチームを組めるかどうかという現状もあります。その次のリーグ戦のこともあり、90分プレーさせるかどうかを含め、うまくマネジメントさせないといけないと思っています。全力で戦ってはいけないと、いう状況もありながら、試合に勝ってグループステージを突破するためにやること、日程を考えてチームを回さなければいけないこと、その両方の考えを持ってやっていきたい」

 ルヴァンカップではフレッシュなメンバー構成になるかもしれないが、そうであれば監督としても選手層の底上げや、これまで出場機会の少なかった選手からの猛アピールにも期待したいところ…かと思えば、そうではないというのだ。

「私は練習で毎日選手たちを見ているので、本来の実力を発揮すればどれだけできるかという感覚は監督として持っています。もちろん、それを試合でどれだけ発揮できるかが選手としての能力の一つでもありますが、全体へのメッセージとして伝えたのは、この1試合で置かれた立場をひっくり返そうとすることは求めていないのだ、ということです。自分の役割をチームに合わせた上でしっかりプレーすることが大事で、そこで特別にアピールしてやろうとするのは、チームのために戦うという考えに基づくと、違うぞ、ということです。もちろん、彼らが十分にJリーグの中でやれるんだというところを見せられる機会になればいいと、彼らのために願っています」

 なるほど、と思わせる選手への対応だろう。自分はいつでもしっかり見ている。だから、その信頼を受けていつもどおりにプレーしてくれ。そうすれば勝てる。リーダーとして苦境を突破するために、選手のメンタル面を考慮した言葉を投げかけた。

 8月5日の夜に清水で、その信頼に応えようと戦う名古屋の選手たちの姿が見られるはずだ。


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