上写真=川崎Fの攻撃をけん引した脇坂(写真◎J.LEAGUE)
■2019年5月3日 J1リーグ第10節
川崎F 3-1 仙台
得点者:(川)小林悠2、長谷川竜也 (仙)大岩一貴
「試合に出れば、やれる感覚はあった」
テンポよく次から次にパスがつながり、川崎Fの一団はあっという間に敵陣に侵入した。パスワークの中心には中村もいなければ、家長もいない。攻撃のタクトを振っていたのは、J1リーグ戦初スタメンの脇坂泰斗だ。ワンタッチで軽くはたいたかと思えば、くるっと前を向いて、ずばっと縦パスを入れる。大卒2年目の23歳は相手にプレスをかけられても、余裕を持っていなしていた。
「試合に出たら、やれるという感覚はあった。違いを生み出すことを心がけた」
圧巻の2アシストと言っていい。13分には小林へ絶妙のラストパス。シュートを打つ考えもよぎったが、瞬時の判断でゴールの確率がより高いパスを選択したという。涼しい表情で1点目のアシストをさらりと振り返る。
「(小林)悠さんがターンしやすいようなパスを出した」
37分には鋭いアーリークロスで2点目となる長谷川のゴールを演出。中央に飛び込んだ小林と長谷川の姿を確認し、相手GKとDFの間にボールをうまく滑り込ませた。まさにクロスのお手本。キック技術の高さは、中村憲剛譲りか。
川崎Fのアカデミー出身。阪南大で経験を積み、4年越しに「復帰」した。プロ1年目の昨季はチャンスをつかめず、リーグは不出場。悔しい思いをしながらも、地道に練習を重ねた時間は有意義なもの。
「内容の濃い1年だった」
先輩たちから多くを学び、吸収してきた。そして、ついに夢見てきた満員の等々力競技場でリーグ初スタメンを飾り、大きなインパクトを残した。
「僕は結果を残すためにやってきた。もっとやれると思っている」
童顔の優しい目は、ぎらぎらしていた。
取材◎杉園昌之