上写真=大卒ルーキーながら、川崎Fの主軸を務める守田(※写真は24節仙台戦のもの)
写真◎J.LEAGUE PHOTOS
■11月3日 J1リーグ第31節
川崎F 3-0 柏
得点者:(川)家長昭博、谷口彰悟、阿部浩之
首位の川崎Fが快勝した。序盤から試合のペースをつかみ、攻守両面で圧倒。21分に家長昭博のゴールで先制すると、33分にはCKから谷口彰悟が頭で決めて追加点をマークした。後半も攻撃の手を緩めず、終了間際には阿部浩之がダメ押し点を決めた。次節のC大阪戦で勝てば、他チームの結果に関わらず、リーグ2連覇が決定する。J2降格圏内に沈む柏は攻守がかみ合わず、2連敗を喫した。
すべて計算尽くのアシスト
先制点のアシストは、計算され尽くされていた。柏のフォーメーション(3バック)の穴、マンツーマンマークのズレ、オフサイドラインの止め方、そして味方の立ち位置まで確認。川崎Fのボランチ、守田英正はそれらすべてを頭に入れ、中盤中央から左サイドに回り込むと、オープンスペースへ飛び出す。
「一人フリーランすることで相手は後手を踏んでいたので。あの場面は体がとっさに動いた」
登里享平からスルーパスを受けたあとも落ち着いていた。クロスを上げる前に中央で待つ味方の状況をチェック。中村憲剛がフリーで待っているのも見えたが、その後ろにいる家長昭博の左足にピタリと合わせる。受け手の利き足まで考えていた。
「ダイレクトで打てるように出した。狙っていた」と胸を張る。
大卒1年目とは思えないほどの心憎い気遣い。ゴールを生んだワンプレーだけではない。マークの距離を少し離したかと思えば、狙い済ましたインターセプトで速攻につなげる。パスのテンポもワンタッチを入れて、緩急をつけた。それでも、本人は満足していない。
「ゲームの流れを決めるのはボランチ。きょうは停滞する時間があった。そこは修正したい」
結果は3-0の快勝で、リーグ2連覇へ王手。多くの取材陣に囲まれても、淡々とした23歳の言葉は変わらない。次節で優勝が決まる状況になっても、「プレッシャーはない」と言い切る。
ルーキーは常に自らに厳しい目を向ける。今季はチームの主軸となり、リーグ戦23試合に出場。9月には日本代表デビューも果たし、急成長を続けているが、おごりは一切見えない。
「フロンターレのスタメンでは、まだまだだと思っている」
次節のC大阪戦(11月10日)で先発の座をつかむために、トレーニングに打ち込むことを誓った。
取材◎杉園昌之