フランクフルトを退団し、新天地に関するニュースが毎日のようにあがる日本代表の鎌田大地の書籍『ブレない信念 12人が証言する サッカー日本代表 鎌田大地の成長物語』がベースボール・マガジン社から発売された。7月29日に全国高校総体(インターハイ)が開幕するが、本書に掲載された第3章の一部を抜粋し、鎌田の高校時代をお届けする。第1回は東山高校1年生のときの話。

サッカーをやめようと思いました 

 雨で濡れた芝が、大地の邪魔をした。練習でいつも使う人工芝のグラウンドとは、勝手が違った。ぬかるんだピッチでシュートを決めるのは簡単ではない。ミスしてもおかしくない状況だった。

 大地は、当時の心境をプロ入り後にこう語っている。

「高1の選手権で負けたときは、サッカーをやめようと思いました。僕が最後に外したせいで、3年生を引退させてしまいました。負けたのは僕のせいです」

 試合後、人目をはばからずに大粒の涙を流す大地に対し、先輩たちは、「次は、お前が頑張れ」と優しく励ました。大地が誰よりも努力していたことを知っていたからこそ、出た言葉だった。

 福重は、「大地としては、自分のレベルなら、絶対に外してはいけないシュートだったという思いがあったのでしょう。プロなら絶対に責められる状況、ユースならチームメイトに文句を言われていた状況なのに、3年生が優しい言葉をかけてくれたわけです。これは、大地にとって大きな出来事だったと思います」と振り返る。

 中村もまた、これが1つの転機になったと考える。

「試合に出られない3年生がたくさんいる中で、1年生の大地が出たわけです。大地は、試合を左右する場面でミスが出たことをすごく後悔していました。そこから、チームのためにという気持ちが強くなっていったように思います」


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