上写真=第2副審を務めた生田さん。スプリント力を生かしたオフサイドの見極めなどで的確な判定を続けた(写真◎石倉利英)
『日本高校選抜レフェリー』に選出
米子市のどらドラパーク米子(どらやきドラマチックパーク米子)陸上競技場で行なわれたインターハイ鳥取県予選決勝は、17大会連続20回目の出場を狙う米子北高と、初出場を目指す鳥取城北高の顔合わせとなった。生田さんは約1カ月前に決勝の担当となることを告げられて「びっくりした」と振り返る。
米子北斗高3年の生田さんが審判員として活動を始めたのは2年前の夏。負傷で一時プレーができなくなったことに加え、同校サッカー部は部員が少なくて公式戦に出場できないため「審判員としてサッカーにかかわりたいと思った」のがきっかけだった。
競技規則を学んで審判員の資格を取り、現在は3級審判員として活動している。県リーグでは主審も務めているが、今回は勝った方がインターハイ出場となる大一番の副審。公式記録で900人と発表された多くの観客も見守っており、試合前は「緊張していました。一つのミスも許されない状況で、絶対に成功させてやろうと思っていた」という。

公式記録で観客は900人。全国大会出場を目指す両チームの熱戦で、同じ高校生が副審を務めた(写真◎石倉利英)
第2副審(両チームのベンチがある方とは逆の、一般的にはバックスタンド側の副審)を担当し、タッチライン際を左右に走りながら判定を下した。決勝ならではの緊張感に包まれた会場で、両チームの気迫がぶつかり合う緊迫した攻防が続く。
近年の高校サッカーはロングパスをヘディングでフリックしたボールに、別の選手が反応してスペースを突くなど、オフサイドの見極めが難しいシチュエーションが多い。攻守もめまぐるしく入れ替わるが、「スプリントが自分の武器なので、しっかりライン(オフサイドかどうかを判断するための、後方から2人目の守備側の選手、または最後方にいる2人の守備側の選手の位置)についていくことを意識して頑張った」と語る動きを繰り返した。
米子北高が5-0で勝った試合を無事に終えると、安堵の表情。それでも「もう少しラインをキープできたのではないか、というのが率直な感想」との課題も感じたそうだ。
審判員を務めながら、レベルの高い選手のプレーを間近で見たり「すごいと言われることに、やりがいを感じている」とのこと。将来は1級審判員として「J1リーグで主審として笛を吹いてみたい」と夢をふくらませる。その夢に向けて「この決勝の経験を生かしたい」と決意を新たにしていた。
取材・写真◎石倉利英