上写真=左からCB候補の板倉、植田、谷口(写真◎小山真司)
文◎飯尾篤史
求められる相手を見る力
4勝2敗で2位に浮上してワールドカップイヤーを迎えた日本代表の前にまたしても壁が立ちはだかった。
主力数人の負傷、という困難である。
キャプテンにして守備リーダーの吉田麻也、スーパーサブとして心強い存在だった三笘薫と古橋亨梧、右サイドバックとGKの貴重なバックアッパーである室屋成と谷晃生を、負傷のためにアジア最終予選のメンバーに招集することができなかった。
だが、負の連鎖は止まらない。
メンバー発表翌日の1月23日、冨安健洋までもがふくらはぎ痛を悪化させ、代表辞退に追い込まれてしまったのだ。不動のセンターバックが2人とも欠場という緊急事態に、森保一監督は誰をピッチに送り込むのか。これが1月27日の中国戦、2月1日のサウジアラビア戦の1つ目の焦点だ。
東京五輪でクオリティの高さを証明した板倉滉か、フランスのニームで経験を積む植田直通か、Jリーグを代表するセンターバックである谷口彰悟か、名古屋の守備リーダーに成長した中谷進之介か。
ちなみに、植田と板倉は21年5月28日のミャンマー戦で、谷口と植田は6月11日のセルビア戦でコンビを組んだ経験があり、板倉と谷口は川崎でチームメイトだった。前回、苦杯をなめさせられたサウジアラビアはもちろん、1-0で下した中国も不気味な存在だ。
21年9月7日のゲームでは、中国はホームにもかかわらずプライドを捨てて5バックで自陣に引きこもってきた。その後は4-4-2をベースにソリッドな戦いも披露しているが、李鉄(リー・ティエ)監督が更迭され、李霄鵬(リー・シャオポン)監督が就任。1月27日の日本戦が初陣となるため、どんな戦い方で臨んでくるのか読めない状況なのだ。
日本のホームだからやはり引いて守って来るのか、それとも1勝2分3敗の5位と後がないだけに攻撃的に来るのか。
そんな相手との戦い方に関して、奇しくも谷口と田中碧は同じ言葉を口にした。
「相手を見てサッカーをする」
立ち上がりの10分、15分で相手のフォーメーションや出方を見定めるだけでなく、どこに立ち位置を取れば相手が嫌がり、どこにボールを入れればウイークポイントを突けるのか。ゲームを進めながら見極め、臨機応変に戦えるかどうかが2つ目の焦点となる。
「相手を見分ける自信、徐々に揺さぶりながらスキをついていく自信はある」
谷口はそうきっぱり言い切った。森保ジャパンは21年10月12日のオーストラリア戦からフォーメーションを4-3-3に変更して元川崎の田中と守田英正をスタメンに抜擢。立ち位置を意識したポジショナルプレーを取り入れたスタイルで戦っている。
谷口が起用されれば、ディフェンスラインからのビルドアップを含め、『日本代表の川崎化』に拍車がかかるというわけだ。個人的にも谷口をこの2連戦におけるセンターバックの一角に推したい。
3つ目の焦点は左サイドバックの人選だ。21年11月16日のオマーン戦では、左ウイングの南野拓実がハーフスペースに潜り込んだとき、長友佑都がウイング然とした高いポジショニングを取れず、左サイドがなかなか機能しなかった。その問題を解消できるかどうか。あるいは中山雄太のスタメン登用もいい。森保監督はそのオマーン戦後、「ポジション争いは今後、ニュートラルに見て決めていきたい」とメンバー変更を示唆していた。