上写真=昨季は福岡で、今季は名古屋で優勝を果たした山岸祐也(写真◎J.LEAGUE)
■2024年11月2日 JリーグYBCルヴァンカップ決勝(観衆62,517人/@国立競技場)
名古屋 3-3 (5PK4) 新潟
得点:(名)永井謙佑2、中山克広
(新)谷口海斗、小見洋太2
円陣の時に健太さんが「祐也、いけるか?」と
1年前、アビスパ福岡の一員として優勝を味わった山岸は、今季は名古屋グランパスの選手として決勝の舞台に立った。登場したのは、75分から。和泉竜司に代わって、2−1とリードしている状況でピッチに入った。
しかし後半のアディショナルタイムにアルビレックス新潟の小見洋太にこの日2点目となるPKを決められ、試合は延長戦に突入。山岸は45分以上、プレーすることになった。
「今年、サッカー人生で一番というぐらい苦しい時期を乗り越えたからこそ、こうして結果が出て、本当に強い気持ちでやってきてよかったと思います」
度重なるケガに苦しみ、シーズンを振り返れば満足な数字を残せていない。しかし、リハビリに励み、厳しい時期を乗り越えて再びカップファイナルでプレーする機会を得た。しかも、最後の最後に重要な役割を担うことになったのだ。
「今年1年間、試合の前の日にPK練習があって、健太さんに1人指名されて、その人が次の試合でPKを蹴るんですけど、俺は1回も指名されたことがなくて、夏ぐらいに健太さんに『俺、蹴れます。今日も決めましたよ』って言ったら、『お前は去年2回外してるのを見ているからダメだ』って言われていました。きょうもPKの(順番の)マグネットを見たら7番目で、『ああやっぱり蹴らしてもらえないか』って思っていたら、円陣を組む時に『裕也、いけるか?』と言ってくれて、『いけます!』と」
昨年の決勝では試合中に得たPKの機会に失敗。浦和のGK西川周作にストップされたのは苦い記憶だ。だが、今回は違った。当初、キッカーに選ばれていなかった山岸は大仕事をやってのけた。
「去年、俺はあっち側(=この日の新潟側)でPKを外しました。しかも今日は5番目で決めたら勝ちというところで(順番が)回ってくるというのは持っているなと思います。それでしっかり決められた。使ってくれた健太さんの信頼に応えられてよかったと思います」
試合後に長谷川監督に順番が変わった理由を尋ねた山岸は、河面旺成の疲労を考慮したのと同時に「お前が外したなら仕方がないなと思った」と説明され、「うれしかった」という。
「さすがに緊張はしましたけど、大勢のファミリーのみなさんが駆けつけてくれて、新潟のみなさんもそうですが、いい雰囲気の中で試合ができて、本当に面白いゲームだったと思います。最後はPKでしたけど、勝つか負けるかで天と地の差があるし、勝たなかったら意味がないと思っている中で最後に自分たちが勝てて、その5番目のキッカーでしっかり決め切れて良かった」
昨年に続き、優勝の美酒を味わうことになった山岸は個人連覇について話を振られると、こう答えた。
「本当にサッカー最高だなと思いますね。この雰囲気の中でプレーできて優勝して、ファミリーの皆さんも、自分たちも、ベンチ外だった人たちも、みんなが笑顔になって本当に喜べたと思います。この景色は何回味わってもいいなと思いますし、また優勝したいなって強く思いました。本当に今日は最高の1日でした」
ケガを乗り越え、自らのPKで優勝を決めた男は、これから、さらに強く勝利を求めていくと言った。