中山雅史がアスルクラロ沼津と契約を更新した。2012年限りでいったん引退したとき、サッカーマガジンは緊急別冊を発行。そこに掲載されているコメントには、現役復帰した現在の姿を予感させるものがある。
上写真=札幌で行なわれた引退会見。中山は「第一線を退く」と言い、最後まで「引退」とは言わなかった(写真◎刀根裕司)
「引退するからじゃないか」
2012年11月24日。J1第33節でサンフレッチェ広島がリーグ初優勝を決めた日、ホーム最終戦で横浜F・マリノスと対戦したコンサドーレ札幌のFW中山雅史が、試合終了直前に交代出場。1分間プレーし、J1最年長出場記録を45歳2カ月1日に更新した。
広島の優勝記念号の作業が終わり、島根県の実家でのんびりしていた週明けの26日、古巣のサッカーマガジン編集部から電話が掛かってきた。電話の向こうで元同僚が言う。
「ゴンさんがホーム最終戦で出場したのは、引退するからじゃないかと思うんだよね」
2010年にジュビロ磐田から札幌に移籍した中山は、その年はJ2で12試合に出場したが、翌11年は公式戦出場ゼロ。J1に昇格した12年も公式戦出場のないままシーズン終盤を迎え、冒頭のホーム最終戦が2年ぶりのプレーだった。
「引退が発表されたら緊急別冊で記念号を作るので、すぐ上京してください」
元同僚の予感は当たった。最終節終了後の12月3日、Jリーグアウォーズが行なわれた夜に電話が掛かってきた。
「明日ゴンさんが引退します。札幌で会見があるらしい。とにかく明日、来てください」
聞けば、スタッフが情報を聞いたという。翌朝、出雲空港に向かう途中で『ゴン引退、きょう会見』の一報を見た。