いわきFCのMF岩渕弘人が、7月度のJ2『明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP』を受賞した。『DAZN Jリーグ推進委員会』では月間表彰選手をインタビューしており、サッカーマガジンWEBはJ2の月間MVPに迫る。昨年10月に右ヒザを負傷して長く戦列を離れていたが、6月最後の試合で復帰し、いきなりゴールを決めると、そこから7月にかけて4試合連続ゴールの大爆発。7月の6試合では5得点を挙げ、いわきの勝ち点増に貢献したアタッカーに、印象に残っているゴールや復帰までの道のり、J2残留を目指す今後への決意などを聞いた。

今後もチャレンジャーの気持ちで

――栃木戦と水戸戦は試合後、ゴール裏のファン・サポーターと一緒に『いわきおどり』(※いわき市伝統の祭り)で喜びを分かち合っていました。クラブ公式YouTubeチャンネルの映像を見ると、試合後の岩渕選手は汗だくですね。

岩渕 サポーターの皆さんと喜ぶ場なので、苦ではありません。毎試合、一緒にやりたいくらいです。

――勝利後の『いわきおどり』は体になじんでいますか?

岩渕 難しい踊りではないので、すぐにできるようになりました。去年は数人でやっていたのですが、今年から全員でサポーターの皆さんと喜びを分かち合おうということになったので、いわき名物のようなものができたと思います。

画像: 勝利後の『いわきおどり』をマスコットのハーマー&ドリーと一緒に。掛け声の『どんわっせ!』に乗ってファン・サポーターと喜びを分かち合う(写真◎J.LEAGUE)

勝利後の『いわきおどり』をマスコットのハーマー&ドリーと一緒に。掛け声の『どんわっせ!』に乗ってファン・サポーターと喜びを分かち合う(写真◎J.LEAGUE)

――今季、第20節終了後に村主博正監督から田村雄三監督への交代がありました。岩渕選手が復帰する少し前で、そこから勝ち点を伸ばしていますが、何が変わったのが結果につながっていると思いますか?

岩渕 布陣が変わったこともありますが、一人ひとりが自分の長所を出そうと雄三さんは言っています。それぞれ持っているものが違うので、自分の良さを生かしながら、連係がすごく良くなりました。みんなが自信を持ってプレーしていることが好調の要因だと思います。

――その中で、岩渕選手が出している自分の長所、持ち味は?

岩渕 ゴールに向かう姿勢や、たくさんシュートを打って相手に嫌がられるようなプレーを、常に意識しています。

――7月最後のジュビロ磐田戦(7月29日の第28節・●0-1)で復帰後初めて先発し、岩渕選手にも何度かチャンスがありましたが決められず、試合に敗れました。それまで自分のゴールで勝ち点を伸ばしていたので、自分が決めるときに決めなければ、とあらためて感じる試合になったのでは?

岩渕 そうですね。周りからも言われるのですが、いまは自分がゴールを決めればチームが勝ち、決められなかったら勝てない、という状況にあります。いかにゴール前で冷静に点を取れるかが、チームにとって一番大事なことだと思うので、自分次第でチームの結果が変わると自分に言い聞かせながら、責任を持ってプレーしなければいけません。

――J2に残留するためには、さらに勝ち点を伸ばしていく必要があります。

岩渕 これから上位チームとの対戦もたくさんあるので、そこでも結果を出さなければダメですし、相手が上位だからといってビビることは全くないです。毎試合、自分たちの良さを出して自分たちのサッカーをすれば、間違いなく勝ち点は積み上げることができます。いまは全員が自信を持ってやっていますが、7月に調子が良かったことは関係なく、今後もチャレンジャーの気持ちで戦います。

――いわきのファン・サポーターの皆さんの声援を、どのように感じていますか?

岩渕 コロナ禍の影響で声出し応援ができず、無観客試合もありました。選手同士で声を掛け合い、鼓舞しながら戦う試合を経験してきたので、皆さんが声を出して応援してくれることが、苦しいときにすごく力になると肌で感じています。ゴールを決めたときや、試合に勝った後に一緒に喜んでくれる姿を見ると、自分だけのためにサッカーをしているわけではないし、そういう皆さんのために、もっと頑張らなければいけないです。

――自分がゴールを決めて、試合に勝って皆さんに喜んでもらった栃木戦や水戸戦は、選手冥利(みょうり)に尽きますね。

岩渕 はい。水戸戦はたくさんの方に見に来ていただいて(観客数は3705人)、いわきの試合を初めて見た方もいたと思います。3失点したのは良くなかったですが、取られても取り返す姿勢は、いわきFCの一番の良さです。それを肌で感じてもらえて、また一緒に戦いたいと思えるような試合だったのではないかと思います。

――今季これからの意気込みは?

岩渕 個人的には、この賞に満足することなく、スタメンで出ても途中から出てもチームが勝つために走り、自分の良さであるゴールに向かう姿勢を出しながら、得点とアシストで12~13ポイントは稼いでチームに貢献しなければいけないと思っています。チームとしては、1試合1試合を全力で戦ってJ2に残留し、来年も高いレベルでサッカーをすることが一番の目標です。

――最後に、ファン・サポーターの皆さんへのメッセージをお願いします。

岩渕 シーズン終盤になると周りの状況や、ほかのチームの試合も気になるのですが、選手は目の前の1試合1試合を全力で戦うので、一緒に戦っていただきたいです。応援よろしくお願いします!

取材・構成◎石倉利英

いわぶち・ひろと◎1997年9月17日生まれ、岩手県出身。地元の遠野高から仙台大に進み、2020年に当時JFLのいわきに加入。21年にリーグ戦24試合6得点の活躍でJ3昇格に貢献すると、22年は明治安田生命J3リーグで31試合に出場して10得点を挙げ、J2昇格の立役者の一人となった。自身は10月の第31節で右ヒザ前十字靭帯損傷・同外側半月板損傷の重傷を負い、今季にかけて戦列を離れていたが、6月24日の第22節・大宮アルディージャ戦で交代出場して復帰し、すぐさま初ゴールを決めると、7月にかけて4試合連続ゴールを記録。7月の6試合で5得点を挙げ、J2残留争いの中で貴重な勝ち点獲得に貢献した。177cm、73kg


This article is a sponsored article by
''.