復帰戦は鳥肌が立って、泣きそうになった
――復帰を目指した今季、6月最後の大宮アルディージャ戦(6月24日の第22節・〇5-1)で控えメンバーに入り、60分から交代出場。83分、いきなり復活ゴールとなる5点目を決めました。
岩渕 メンバーに入ることが決まって大宮に行き、起きてからミーティングをして、会場でバスを降りるときくらいは、いままでの人生で一番緊張しました。試合前や試合中に緊張することは、あまりないのですが、やれるのかなという不安もありながら、緊張していて。ウォーミングアップの前に初めてサポーターの皆さんの前に出たとき、最初に自分のコールをしてもらったときは鳥肌が立って、泣きそうになりました。
――続くブラウブリッツ秋田戦(7月2日の第23節・△1-1)では64分から交代出場し、試合終了間際にファウルを受けてPKを獲得。自らキッカーを務めましたが、すぐに自分で蹴ると決めたのですか?
岩渕 試合前日の練習でPKを外していて、あまり良いイメージがなかったので、試合前のウォーミングアップのときにキャプテンの山下優人に「俺がPKをもらったら、譲るから」と言っていたんです。それでPKをもらったら、珍しく交代していたので(※山下が今季フル出場しなかった試合は、このときが初めて)、自分で蹴ろうと思いました。
――後半アディショナルタイム、0-1で負けている状況で、PKを『パネンカ(軽く浮かせたキック)』で真ん中に決めました(得点時間は90+2分)。あの状況で、あのキックを選択するのは勇気が必要だったのではないですか?
岩渕 いままで自分がPKを蹴ったり、ほかの選手のPKを見てきて、あれが一番入るんじゃないかと思いました。少しリスキーですけど、どうしてもGKは左右どちらかに飛ぶので、真ん中に立っていることは、あまりない。PKの練習は毎週やっていて、ウチのGKにも相談したら「実際に真ん中に蹴られたら、取れないよね」と言っていたので、そう判断したんです。仮に外しても自分が取ったPKだから、と考えていました。あのキックを試合でやったのは初めてです。
――2得点を挙げた水戸戦(7月9日の第25節・〇4-3)は、1-3からの劇的な逆転勝利。岩渕選手は65分の2点目に続き、88分に宮本英治選手と2人での鮮やかなカウンターアタックから、逆転の4点目を決めました。
岩渕 自分がボールを奪って英治にパスを出した瞬間、英治はGKと1対1になっていましたが、1対1よりも2対1の方が絶対に可能性が高いと思いました。英治に追い付くまでは全力で走りましたが、追い付いてから英治のボールコントロールがちょっとだけ良くなかったので、少しスピードを抑えて。あとはGKの位置を見ながら、いつパスが来てもいいように準備していました
――イメージしていたとおり、宮本選手のパスからゴールを決めました。
岩渕 ちょっとボールが浮いていたのですが、GKの位置がずれていてシュートコースは見えていたので、決める自信がありました。
――これで復帰戦から4試合連続ゴールとなりました。これまでのキャリアで、こういう爆発力は経験がありましたか?
岩渕 いや、こういう感じで何試合も連続でゴールを決めたことはなかったです。
――コンディションやボールタッチのフィーリングは、試合を重ねながら良くなっていったのですか?
岩渕 復帰当初は出場時間が長くなかったので、相手のライン間でパスを受けてターン、といったシーンがなく、ゴール前でシュートを打つだけという状況が多かったです。シュートの感覚は良くて、あまりコンディションは関係なかったので、そこだけは仕事をしてやろうと思っていました。
――今年は早くから暑い日が続いていますが、暑い時期は得意ですか?
岩渕 加入2年目まではJFLで、真夏のデーゲームを経験しました。真夏の14時キックオフもあって、かなり暑かったですが、そのときと比べたら全然暑くないですし、ナイトゲームは、すごくありがたいです。そのころを経験している選手も残っているので、いわきの選手は暑さに強いと思います。