アルビレックス新潟は2022年の明治安田生命J2リーグを勝利で締めくくった。10月23日の第42節で、FC町田ゼルビアに2-1の勝利。舞行龍ジェームズは勝利を喜びながらも、無失点で終えられなかった悔しさもかみ締めた。来年はJ1で、古巣の川崎フロンターレに勝利の恩返しを誓った。

上写真=舞行龍ジェームズは今季、多くのパートナーとセンターバックを組んだ。「組んだ人の良さを引き出すことがオレの仕事」(写真◎小山真司)

「自分はJ1でやれる自信がある」

 J2優勝とJ1昇格を決めてホームで迎えたJ2最終節は、まさに凱旋マッチ。FC町田ゼルビアを2-1で下し、舞行龍ジェームズも「勝ってよかった!」と顔をほころばせた。でも、「最後は0点で抑えたかったですね、正直」と苦々しい表情も見せた。

 センターバックとしては、同点に追いつかれた38分の失点を許したくなかった。デザインされたコーナーキックからで、「今年はセットプレーからの失点が多い」と嘆いた。それに、これがなければ、今季のJ2で最多得点となる73ゴールを記録しただけではなくて、単独で最小失点のチームになることができたからだ。この失点で35となって、徳島ヴォルティスと並ぶことになった。

 それでも、勝利への縦パスを差し込んだ働きは絶大だった。1-1で迎えた83分、伊藤涼太郎の横パスを受けてワンタッチで縦へ。三戸舜介がフリーで受けて前を向き、鈴木孝司とのワンツーで抜け出して、巧みなチップキックショットで決勝点だ。

「横バスのタイミングで、ダイレクトだったから出せました。トラップしたら取られていたと思うので、そうしたら横につけようと思っていました。横バスも良かったので、つけやすかったですね」

 ビルドアップに強みを見せるセンターバックとして、2022年の新潟を支え続けた。Jリーグ公式サイトによれば、ボールタッチアクションの回数を出場試合数で割った数値となる「1試合平均プレー数」は95.2で、リーグで2位。ちなみにセンターバックのパートナー、トーマス・デンが101.3で1位、千葉和彦は94.5で3位だから、センターバックでたくさんボールに触ってテンポを生み出すスタイルが、数字にもしっかりと表れたことになる。

 それだけボールを操ることができたのも、守備の安定があったから。要因は仲間の献身にあるとする。

「前からのプレスが後半戦は特に良くなって、後ろから守備にいくときに狙いやすくなっていきました。特に、縦パスを取られたあとの切り替えは、距離感が良かったことによってすぐに守備にいけたと感じています」

 自分が縦にパスを差し込める状況にあるということは、パスの出口とその周りに適切に選手が配置されているから。だから、もし奪われたとしても、すぐさま奪い返す即時奪回が可能になった。

 そんな攻守の自信を携えて、J1へと向かう。

「やっとですね。自分はJ1でやれる自信があるので、それを証明したいと思います。1年で終わりになるのではなくて、どんどん上の順位を目指していきたいし、積み上げてきたサッカーを通用させる気持ちでやっていきたい」

 2017年に川崎フロンターレに移籍して、チャンピオンチームの一員になった。しかし、ケガが重なってリーグ戦の出場は残念ながら3試合のみ。2019年の夏には新潟に戻ってきた。そしてついに、J1への帰還。

「いろいろと学んだクラブでもあるし、勝って恩返しがしたいと思っているんです。学んできたことがアルビのスタイルに生きているし、自分のプレーにも生きています。絶対に負けたくない」

 新潟が培ってきた鮮やかに主導権を握るスタイルのサッカーにおける第一人者が、川崎Fだ。ここ5年で4度のJ1リーグ制覇を果たす日本を代表するクラブに、自分たちのスタイルを思う存分、ぶつけて、そして勝ちにいく。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


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