明治安田生命J2リーグ第40節で10月8日、首位のアルビレックス新潟がJ1昇格を決めた。引き分け以上で決定する状況で、ベガルタ仙台を相手に3-0の完勝。ホームスタジアムで6年ぶりのJ1でのプレーをもぎ取った。

上写真=新潟の選手たちはホームで、自分たちのサッカーで昇格を勝ち取った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年10月8日 J2リーグ第40節(デンカS/32,979人)
新潟 3-0 仙台
得点者:(新)伊藤涼太郎2、アレクサンドレ・ゲデス

画像: ■2022年10月8日 J2リーグ第40節(デンカS/32,979人) 新潟 3-0 仙台 得点者:(新)伊藤涼太郎2、アレクサンドレ・ゲデス

「停滞するつもりはありません」

「みんなやったな、かっこいいな、と」

 松橋力蔵監督は試合終了のホイッスルを聞いたときに、そう思ったのだという。

 アルビレックス新潟、J1復帰!

 苦しかったJ2での5年間のすべてを晴らすように、伊藤涼太郎の2ゴールとアレクサンドレ・ゲデスのダメ押しゴールでベガルタ仙台を寄せつけずに、3-0で完勝。見事に6年ぶりのJ1昇格を自らの手でもぎ取った。

 引き分け以上でJ1昇格が決まる状況で、3万人を超える観衆が詰めかける中でも、新潟に硬さはなし。キックオフからゴールに向かってのびのびとプレーした。5バックで低く構えて徹底的に守るベガルタ仙台を尻目に、序盤から積極的にシュートを放っていく。

 なかでも両サイドからキレよく攻め込んだのが、右の三戸舜介、左の小見洋太だ。7分に小見がカットインからシュート、14分にも同じように狙ったが、寸前で相手のカバーにクリアされた。21分には左からの小見のクロスに三戸が逆サイドで合わせながらわずかに外れるものの、優勢は変わらない。仙台が最終ラインに人数をかける分、中盤で新潟の優位が続き、セカンドボールのほとんどを回収して押し込むハーフコートゲームになった。場内が最も沸いたのが44分で、伊藤涼太郎のFKはバーをたたいて、0-0のまま折り返した。

 これまでと変わりなく、あるいはそれ以上に圧倒的に攻めたから、ゴールは時間の問題だった。まずは64分、左からのスローインを素早く始めて伊藤が受けて中を向き、島田譲に当ててそのまま戻ってきたボールをワンタッチシュート、ゴール右へと流し込む優しいシュートで先制した。

 75分にメンバーを3人入れ替えてフレッシュさを注入すると、さらに攻め立てる。77分には左を崩して島田の折り返しが相手に当たったが、そのまま伊藤が左足のボレーでたたき込んで追加点。90+4分にはカウンターからアレクサンドレ・ゲデスが持ち運び左の秋山へ、中央に戻してゲデスがスルー、右の松田詠太郎がまたワンタッチで中央に戻すという自慢のコンビネーションで完全に相手守備を振り回し、ゲデスがワンタッチで押し込んで、J1昇格を決定づける3点目が決まった。

 そして、その瞬間がやってきた。終了のホイッスルが鳴ると、松橋力蔵監督は最高の笑顔でガッツポーズ。一人ひとりとハイタッチして、大願成就の瞬間をかみ締めた。

「私はもう(記者会見の頃には)切り替えていますが、選手は今日はしっかりと喜んでもらって、また明日からしっかりと次の試合に準備したい」

 目の前の敵が最強の敵、という自らの言葉を証明するように、昇格を決めても喜びは一瞬。その姿勢こそが、就任1年目でJ1昇格という難しい仕事をやってのけたこの指揮官の力だろう。

「停滞するつもりはありません。昇格という目標を掲げてきましたが、この舞台がJ1だと思ってもっと引き上げていって、やれること増やさないといけないと思っています」

「J1チーム」としての格を備えながら、今度はJ2優勝へ向かって残り2試合を戦っていく。

 敗れた仙台の伊藤彰監督は「ボールを握られるのは想定していた」と、練っていたプランを遂行。「中央にくさびを入れられないように、入れられたらしっかりと守備をすることを狙って、前半途中まではできていた」と立ち上がりの堅実さは評価した。しかし、「もう少し高いラインで守備したかった」と徐々に押し込まれた力の差を口にした。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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