明治安田生命J2リーグ第20節で、ベガルタ仙台はジェフユナイテッド千葉に0-2で敗れて首位を明け渡した。攻撃のリズムが作れない苦しい試合で、左サイドハーフとして自慢の突破力を生かしきれなかった氣田亮真は、厳しく自分の責任を追求していた。

上写真=氣田亮真は孤立することが多く、持ち味の推進力を生かしきれなかった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年6月5日 J2リーグ第20節(フクアリ/7,401人)
千葉 2-0 仙台
得点者:(千)ブワニカ啓太、見木友哉

「突破するのが自分の役割なので」

 自慢の攻撃力が、発揮しきれなかった。

 前節で首位のベガルタ仙台は、前日に2位のアルビレックス新潟が徳島ヴォルティスと引き分けて勝ち点を落としていただけに、引き離すチャンスでもあった。しかし、ジェフユナイテッド千葉とのアウェーゲームで0-2と敗れ、6試合ぶりの黒星を喫した。完封負けとなると、0-3で屈した3月26日の第6節FC町田ゼルビア戦以来である。

 攻撃がうまく回らなかった。気温27.3℃の暑さもあったし、散水したピッチに足を滑らせる選手も多かった。千葉が前半途中で負傷者が出て4-4-2にシフトしてからは、マークがかみ合うようになってきてプレスを真正面から食らう格好になった。

 仙台の左サイドハーフとして攻撃を司る氣田亮真は、自らの責任を痛感してうなだれる。

「ビルドアップやゲームメーク同様に、相手ゴール前に行くときにも、どっちの足にボールをつけるのか、とか、その何メートル、何センチというこだわりは大事で、そこは自分がもっと圧倒的なものを示さなければいけない。自分が一番責任を感じています」

 チャンスがないわけではなかった。16分には左深くで受けた縦パスを足裏のフリックで中に残して遠藤康へ。遠藤は中央に抜け出した皆川佑介へ届けたが、空振りしてしまう。36分には中盤で相手を挟み込んで奪ってから、氣田が一気にドリブルで前進。ラストパスでペナルティーエリアに中島元彦を走らせたが、切り返した瞬間にブロックにあってしまった。

「自分たちから試合を壊してしまいました。自分たちのクオリティーの問題だと思います」

 氣田が絡んだ前半の2つのチャンスをフイにした上に、後半開始早々に2分で2失点。48分の最初の失点は左サイド深くのスローインのボールを奪われたところが始まりで、50分の2失点目も中盤のつなぎを引っ掛けられてカウンターを食らった。

 2点のビハインドを埋めるべく、ここから次々に攻めに出た。しかしこの日は、ボールを持ってもサポートが遅い。原崎政人監督は「選手が自信を持ってプレッシャーの中に飛び込んでいけなかった」と話し、氣田も孤立するようになっていった。しかし、それでも突破しなければならなかった、と自分を責める。

「結局、自分のところは孤立しようがなんだろうが、突破するのが役割なので、もう一つレベルを上げないといけないと思います」

 勝ち点を持って帰ることはできず、39のまま。同勝ち点の新潟に得失点差で抜かれて、首位を明け渡した。3位の横浜FCも同じ勝ち点で、3強が並ぶ構図になった。

 ここからは、昨季はJ1でともに戦った徳島ヴォルティスに続き、横浜FC、モンテディオ山形、FC町田ゼルビア、ヴァンフォーレ甲府と現時点の上位陣との連戦が待っている。ここを突破すれば、一気に上昇気流に乗ることができる。この黒星はそのためのステップボードにしなければならない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.