「サンガのシャツを着て気持ちが高ぶった」
――2016年から2018年まではサンフレッチェ広島と北海道コンサドーレ札幌に在籍していましたが、京都のことは気になっていましたか。
宮吉 広島でも札幌でも、異なる環境でより上を目指したいという気持ちを持っていましたが、正直、古巣のことは気になっていました。サンガでもう一度、プレーしたいという思いは消えなかったですね。ただ、広島と札幌ではいい経験を積むことができました。過去を振り返れば、2014年に半年だけレンタルでプレーしたカターレ富山にもお世話になりました。トップに昇格したばかりの頃は一つのクラブでずっとプレーするイメージを持っていましたが、サッカー選手の将来は本当に読めないもの。僕としてはサンガ以外の3クラブでプレーできたことは、いまも大きな財産になっています。
――昨季は4シーズンぶりに古巣に戻ってきましたが、紫のユニフォームも自然と馴染んでいますね。
宮吉 はい。サンガのユニフォームに袖を通すと、気持ちが高ぶりました。ファン・サポーターの方にも温かく迎えてもらえたことはうれしかったです。自分の決断で一度はクラブを離れたのに、またこうしてプレーさせてもらっていることにはすごく感謝しています。
――16歳でトップチームに昇格し、今季で在籍期間はチーム最長となる計10年目。宮吉選手にとって、サンガとはどのような存在ですか。
宮吉 僕をプロサッカー選手にしてくれたクラブです。思い返せば、サンガに入ったのは中学校1年生です。当時は中学校が終わると、一目散に電車に乗り、練習場に向かっていました。高校時代になると、ほとんどトップチームとともに練習していました。本当に長い時間を過ごしていますね。
――昨季は、サンガで初めてキャプテンを務めました。
宮吉 初めてのことで至らない点ばかりでした。チームメイトには迷惑をかけましたが、あの立場で積んだ経験は、今後のプラスになると思います。今季は少しでもキャプテンの安藤さんを支えていきたいです。
――キャプテンの経験も生きてきそうですね。
宮吉 そうですね。話すのはあまり得意な方ではないですが、積極的に働きかけていこうと思っています。
――アカデミー出身の若い選手たちも多いです。
宮吉 個性はそれぞれなので、言い方なども工夫したいです。プラスに働くようにしていこうと思っています。
――復帰2年目のシーズン、どのような働きでチームに貢献したいですか。
宮吉 年齢的には中堅の部類です。年上の選手から多くのことを学びつつ、下の選手が少しでも伸び伸びとプレーできるようにコミュニケーションを取っていきたいです。新スタジアムの完成初年度で昇格を果たし、来季はJ1のステージで戦います。
取材・構成◎杉園昌之 写真◎KYOTO.P.S.、J.LEAGUE
◎Profile
みやよし・たくみ◎1992年8月7日生まれ、滋賀県出身。中学校1年生のときに京都サンガU-15に入り、京都サンガU-18へ。高校1年生の08年3月にトップチームに2種登録され、同年9月に16歳1カ月14日でクラブ最年少出場を果たす。同年10月にはプロ契約を結んだ。14年8月にはカターレ富山に期限付き移籍し、約半年後に復帰。16年にサンフレッチェ広島に完全移籍して2シーズン過ごし、18年は北海道コンサドーレ札幌でプレー。19年から再び古巣に復帰している。173cm、68kg