宮崎県の都城市高城運動公園多目的広場と宮崎市清武総合運動公園多目的広場でキャンプを行なう金沢。柳下正明監督のもと新シーズンへの準備を進めている。柏から期限付き移籍で加入したDF杉井颯も練習に汗を流す。

上写真=都城キャンプでのトレーニングに、明るい表情で臨む杉井(写真◎サッカーマガジン)

「すごくポジティブに考えています」

 中学から柏アカデミーでプレーし続けてきたDF杉井颯が、新たな挑戦に臨む。新天地は金沢。20歳を前に、北陸の地でさらなる成長を目指す。

「生まれは柏で、育ったのは流山という隣の市です。レイソルから出るのは初めて。いろいろな選手とか、家族、関係者の人に『怖くないの?』と聞かれたりもしました。でも、僕の本音としては、まったく怖くない。むしろ、チャレンジしに来ているので、恐れていても仕方ないのかなと。今までやってきたことをどんどん活かしつつ、また成長していく。不安はないし、新たなサッカーを金沢でできているので、プラスでしかないと思っています」

 慣れ親しんだイエローのシャツを一度脱ぎ、レッドのユニフォームに袖を通す。杉井にとって、異なるサッカースタイルを習得することが、楽しみで仕方ないようだ。

「ゾーンディフェンスだったり、ポゼッションサッカーというものを今までやってきた中で、僕自身がもっと上のレベルに行くためには、それらだけでは足りないと考えました。柳下(正明)監督のサッカーは、対人だったり、1対1のマンツーマン。今までやってきていなかったから、逆にそこで一段階も二段階もレベルアップできるのではないかと。それが金沢に移籍した目的なので、それを楽しんで、自分のものにすれば、ポゼッションもできるし、逆にマンツーマンのディフェンスだったり、ゾーンディフェンスだったり、いろいろな戦い方に対応できる。自分はすごくポジティブに考えています」

 柏U-18からトップチームに昇格した昨季、杉井は壁にぶつかった。ネルシーニョ監督の要求に応えられるようなプレーができず、J2優勝とJ1昇格へまい進するチームの中で、危機感を募らせた。

「プロ1年目の昨年は、すごく困ったというか、僕自身の実力がまだまだ足りないと。やっぱり監督の求めるプレーをできないといけないし、要求された以上のプレーで返さないといけないと思っています。ネルシーニョ監督もそうだし、柳下監督もそうですけれど、求められた以上のプレーをするために、まずは、いま求められているプレーをしっかりやる。その上で慣れてきたら、さらにプラスして、自分の特長を出していく。それが自分のレベルアップにもなるし、チームのレベルアップにもつながるので、そういったプレーを見せていかないと。(金沢に来て)サッカーも変わり難しいところはありますけれど、どんどんチャレンジしていけたらいいです」

 左利きの杉井は、センターバック、サイドバック、ボランチもこなすユーティリティー性も兼ね備えている。「ポジションにこだわりはない。監督に求められているところをやる」と言うが、今季は主に左サイドバックでプレーすることを念頭に置く。

「今年はサイドバックが多くなるのではないかなと予測はしています。このチームのサイドバックの約束事、決まり事を、まずは早く覚える。そして、実行する。選手間で『金沢のサイドバックは難しいぞー』という話も出ますが、そのくらいチームにとって大事なポジションだし、サイドバックの出来次第で結果も変わると思っています。僕自身が試合に出たら、今まで培ってきたものをプラスして、プレーできればいいと思います」

 そして、持ち前の明るい性格と、昨季の柏での経験も金沢に還元していくつもりだ。

「僕自身はサッカーを楽しくやりたいと思っているので、なるべく声を出してチームを盛り上げていきたい。また、昨年はJ2優勝、J1昇格を成し遂げた一員として、戦い方を知っているし、そのチームの雰囲気も分かっています。そういうことをこのチームに還元し、J1自動昇格を目指しつつ、最低でもプレーオフ圏に入りたいです。J1に行くことができれば、もっとこの地域が盛り上がるだろうし、多くの勝利をつかみ取って優勝できたらいいなと思っています」

 太陽のように光と熱を放ち続ける19歳が、金沢をさらなる高みへとけん引する。

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