柏対愛媛の一戦で、先制したのはアウェーチームだった。前半アディショナルタイムにMF長沼洋一のパスからFW藤本佳希が右足でゴールへ蹴り込み、愛媛が1点をリードして試合を折り返す。ところが、後半はホームの柏の反撃に遭い、60分にコーナーキックからDF染谷悠太に同点ゴールを許す。さらに、80分にはFW江坂任に決勝点を献上。愛媛は首位柏を相手に先手を奪うも踏ん張り切れず、4連敗を喫した。

「山形は応援している。でも、悔しい思いもある」

 茂木にとって愛媛は、プロ2年目に初めて主力として1シーズンを戦ったクラブだ。浦和で過ごしたプロ1年目は、公式戦出場はゼロ。それだけに、キャリアの“原点”とも呼べるクラブへの愛着は、チームを離れた2016年以後も強かった。

「(昨シーズン途中に)山形から浦和へ戻って、J1に挑戦して、J1と天皇杯で1試合ずつには出られました。だけど、なかなか主力になることはできなかった。もっとJ1で出たい気持ちはありますが、試合がないのは選手としてつらい。試合をして、自分の能力を伸ばしたい。その気持ちで、愛媛にもう1度挑戦したかった。愛媛はプロ2年目に来て、試合に出始めたチームだし、自分を成長させてくれたチーム。だからもう一度、愛媛の力になりたいと思って来ました」

 そして10月27日には、2017年から1シーズン半にわたって在籍した山形との対戦も待ち受ける。33節を終えて2位と、J1昇格争いを繰り広げる古巣に対して、「山形には知っている選手がたくさんいるし、応援しています。でも、(上位の山形と差が広がり)悔しい思いもあります。まだ山形との試合は残っているので、昇格争いを難しくできるようにしっかりそこで勝ちたいです(笑)」と、ライバル心を燃やす。

 33節時点で愛媛が獲得した勝ち点数は「35」。「確実に狙っている」と言うJ2残留は至上命令だが、「まだ9試合もある」と、20ポイント差あるプレーオフ圏内(6位以内)入りもあきらめていない。その目は、常に高みを見据えている。

「たとえ(J1昇格)プレーオフに進めなかったとしても、上位に食らいつく。上位のチームとも、まだ試合が残っているし、そこを倒せば、チームとしても、自分としても成長できると思う。(愛媛は)まだ成長段階のチーム。今J1で戦っている大分とか、そういったどのカテゴリーに行っても戦えるチームになっていきたいし、そのための力になりたい」

 愛媛の地でリスタートを切った茂木の挑戦は、これからも続いていく。

取材◎小林康幸


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