第35節大分戦の試合前、サポーターは「時は来た 勝つだけだ」という横断幕を掲げ、選手を迎えた 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

 9月27日、来季のJリーグ・クラブライセンスの判定結果が発表され、J2の水戸にJ1ライセンス(解除条件付き)が、J3の秋田にはJ2ライセンスが、それぞれ初めて付与されることとなった。

史上初の「解除条件付き」ライセンス

画像: 第35節大分戦の試合前に行なわれた記者会見で、解除条件付きJ1ライセンスが付与されることを報告する水戸の沼田社長 写真◎サッカーマガジン

第35節大分戦の試合前に行なわれた記者会見で、解除条件付きJ1ライセンスが付与されることを報告する水戸の沼田社長 写真◎サッカーマガジン

 2013年のクラブライセンス制度導入以降、初めて水戸にJ1ライセンスが付与されることとなった。長年追い求めてきたJ1ライセンスに、ついに手が届いた形だ。

 9月29日、J2第35節大分戦(●1-2)の試合前には記者会見が行なわれ、水戸の沼田邦郎社長は「これから強いチーム作りをして、さらなる地域貢献を進め、夢のJ1の舞台へ、のし上がりたい」と、抱負を語った。

 今季、水戸がホームスタジアムとして使用しているケーズデンキスタジアム水戸は、現状でJ1基準を満たすスタジアムではない。そのため、J2で2位以内に入った場合や、J1昇格プレーオフを勝ち上がった場合には、来季の本拠地を、J1基準を満たす見込みの笠松運動公園陸上競技場へと移すこととなる。(※現時点ではゴールの形状やベンチの座席数など、スタジアム備品が不十分であるため、それらを来季開幕までに充足する必要はある)

 ただ、来季もJ2で戦うことが確定すれば、引き続きケーズデンキスタジアム水戸でホームゲームを開催することとなるため、その場合J1ライセンスは解除され、従来のJ2ライセンス付与に変更される。こういった「解除条件付き」のライセンス判定が下されたのは、Jリーグで初めてのことだ。

残り7試合で、6位以内を目指す

画像: 第35節大分戦に敗れたが、選手たちは最後まで6位以内を目指して戦うことを誓う 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

第35節大分戦に敗れたが、選手たちは最後まで6位以内を目指して戦うことを誓う 写真◎J.LEAGUE PHOTOS

 J1昇格を狙えるクラブとなった水戸だが、この日行なわれた大分戦では敗れ、勝ち点を積み上げることはできなかった。J1昇格プレーオフ圏内の6位横浜FCとは、勝ち点12差(9月30日時点)。残り7試合でその差を逆転するためには、ひたすらに勝ち点3を重ねていく必要があるだろう。

「J1に行くための道はできたので、あとは僕たちがそこにたどり着けるかどうか。6位以内に入るためには、もう1試合も落とせないので、水戸らしいサッカーを貫いて、勝ち点3を物にしていきたい」(MF伊藤涼太郎)、「現状では厳しいかもしれないけれど、6位以内に入れる可能性がある限りは、1試合1試合を決勝戦だと思って戦っていく」(DFジエゴ)と、選手たちも最後まであきらめずに戦うことを誓う。

 MF木村祐志も、「サポーターの皆さんには(試合前から)横断幕(「時は来た 勝つだけだ」)を出してもらった。そういう人たちの気持ちに応えたい」と、水戸をJ1の舞台へ導く決意を新たにする。

 練習場の整備や財務状況の安定化など、クラブの地道な努力が実を結び、ついにJ1への道を作り上げた。「これまで悔しい思いも多々してきただけに、(判定結果を聞いたときは)熱いものがこみ上げてきた」という沼田社長の言葉が、これまでの苦労を物語る。

 その道を突き進み、J1の舞台に立つために――。水戸の挑戦は、これからも続く。

取材◎小林康幸


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