8月5日の明治安田生命J1リーグ第22節、名古屋グランパスがアルビレックス新潟を迎えた一戦は、名古屋が鮮やかなゴールで1-0の勝利をもぎ取った。決めたのは森下龍矢。絶妙なタイミングでゴール前に現れたが、その理由は「日本の夏」だというのだ。

上写真=森下龍矢がこの日のヒーロー。抜群のタイミングでゴール前に現れた(写真◎J.LEAGUE)

■2023年8月5日 明治安田生命J1リーグ第22節(@国立競技場/観衆57,058人)
名古屋 1-0 新潟
得点:(名)森下龍矢

「ランニングのタイミングが洗練されてきた」

 名古屋グランパスがこの日、唯一のゴールを挙げたのは、試合序盤の14分のこと。長谷川健太監督も喝采だ。

「一つの自分たちの形ですし、新潟に対しての狙いでもありました。新潟はここのところサイドを割られても中で体を張って抑えていたので、こういうチャンスを決めきれるかがポイントでした。本当に素晴らしいゴールで、中で(森下)龍矢もいい形で詰めてくれました」

 右サイドで野上結貴、稲垣祥、藤井陽也がつなぎ、和泉竜司が内側でもらってワンタッチで鋭く縦に抜けて折り返すと、中央に颯爽と飛び込んだ森下がしっかりとブッシュした。

 いい形で、というのは、森下自身の実感と同じだ。

「右サイドで素晴らしい崩しをしてくれたので、流し込むだけでした。緊張したけれど、決められてよかった。運動量が武器なので、ウイングバックとしてあそこまで入っていけたのが良かった」

 この一連の流れで森下が強調したのは、走り出すタイミングを見極める感性だ。

「抜けそうって思ったとき、ですね。かいくぐりそうだな、というか、和泉くんのところにボールが入りそう、というところです」

 絶妙の一瞬をかぎ分けたからこそのゴール、というわけだ。

「今日は前線が収まってから走り出すようにちょっと工夫して、あそこで走り出しました」

 では、どうしてその感覚を獲得できたのか。

「連戦だから、ボールが入る前に走り出して、でも取られちゃうと、もう戻るのめっちゃきついんですよ。だから、前でしっかり収まってから出ていくのはかなり意識してて、ランニングのタイミングみたいなのが、すごく洗練されてきたんじゃないかな、と」

 意外にも、極めて現実的な理由からだった。

「これまでは、むやみやたらに走ってたんですけど、正直、この日本の夏を乗り切れないんです。だから、そのランニングのところはすごく考えました」

 この日も公式記録では気温30.2度、湿度 61パーセント。まさに国立競技場沸騰の一撃は、灼熱の夏がもたらしたのだった。


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