上写真=酒井宏樹の豪快な一撃で、浦和が息を吹き返した(写真◎J.LEAGUE)
■2023年3月18日 J1第5節(@浦和駒場/観衆15,167人)
浦和 2-1 新潟
得点:(浦)酒井宏樹、明本考浩
(新)太田修介
新潟はアウェー浦和戦初勝利に届かず
浦和レッズは、動じなかった。J2から昇格して、ここまで4試合で唯一の負けなしと勢いに乗るアルビレックス新潟を、逆転で下した。「動かない」ことで勝ち点3と3連勝をたぐり寄せた。
先制したのは新潟だった。開始早々の10分に、新井直人の右からのクロスが相手に当たってはね、落下地点にいた太田修介がワントラップから豪快に右足を振り抜いて、ゴールに突き刺した。
浦和にアウェーでまだ一度も勝ったことのない新潟は、ここからボールを動かしながら主導権を握った。しかし、ゴール前にまでボールを運ぶことができない。雨の影響もあってかボールが足につかなくなると、こぼれたボールは、様子を見るかのように静かに待ち構えていた浦和が確実に回収する。
すると、浦和の時間がやってきた。今季初先発の関根貴大が振り返ったのが、我慢の意識だ。「新潟が思っている以上にうまかったので、我慢強くやるしかないなと(酒井)宏樹くんと声をかけ合いながらできたと思います」。ハイプレスを標榜しながらも、相手を見ながら無理はしない。リスクを抑えて試合をコントロールしていく。そうなると、チャンスは巡ってくる。
35分、新潟のクリアが小さくなったところを酒井宏樹がダイレクトでシュート、新潟の先制ゴールのお返しとばかりに同じように豪快に突き刺せば、45+2分には右CKからのこぼれ球を明本考浩が左足の大胆なジャンピングボレーで蹴り込んで、逆転に成功した。
新潟が自慢にするボール回しに、猛烈なハイプレスで封じ込めようとするチームが多い中、浦和はむしろ新潟に回させておいて、スピードアップする縦パスに対してしっかりと注意を払って対応した。強奪に出るのではなく、じんわりとスペースを消し込んでいくことで新潟にテンポをつかませなかった。いわば、「大人」の守り方。
マテイ・スコルジャ監督はそれを「セットしてからのハイプレス」と表現した。
「後半はミドルゾーンでセットしてからハイプレスを掛けようとしました。ビルドアップの得意な相手に低い位置のディフェンスになると簡単に危ない場面を作られます。ミドルゾーンでセットしながらできるだけ前からいこうとしましたが、押し込まれてローディフェンスになってしまう場面が多かった」
うまくいかなかった部分があったとはいえ、相手の出方を見ながらプレスの「場所」を変えて対応するしたたかさで、好調のJ2王者を抑え込んでみせた。
その新潟はこれで、今季初黒星。アウェーの浦和戦で一度も勝てていないという「鬼門」を突破したかったが、またも乗り越えられなかった(これで3分け12敗)。セットプレーからクリアが短くなって連続で押し込まれるという、同じような形での2失点を、松橋力蔵監督は悔やんだ。「セットプレーでの対応で、ここのところ1回で弾き返せずに連続で攻撃を受けてしまっていました。これまではそれでも失点しなかったけれど、試合を重ねていってそういうプレーが続けば失点の確率は高くなってしまいます」