上写真=京都戦では今季2点目で勝利に貢献。出場試合もプレー時間も得点も昨季超え(写真◎J.LEAGUE)
「もっとうれしいだろうな、と」
ルーキーイヤーの2021年、リーグ戦で全38試合のうち29試合に出場した橘田健人は、全34節の今年はすでに30試合でプレーして昨季を超えた。しかも、出場時間では1580分から2562分へと大幅に伸ばしていて、アンカーとインサイドハーフで存在感を増す、なくてはならない存在になった。
だからこそ、優勝したい。
「去年のリーグ優勝は自分のサッカー人生で一番うれしかったことなので、試合にたくさん出て優勝したら、もっとうれしいだろうな、と。だから、あきらめずに優勝したい思いでやっています」
増えたのは出場時間だけではなく、得点もだ。リーグ戦ではゼロだった昨年から、今年は2ゴールをマークしている。こぼれ球をゴール右にていねいに流し込んだ9月14日の名古屋グランパス戦、そして10月12日の京都サンガF.C.戦では、左CKから右ポストに当たったはね返りをすかさずボレーで蹴り込んでいる。共通するのは反応の速さだ。
「常に狙いながらやっているので、その意識がつながりました」
京都戦のゴールシーンでは、CKからのボールを待ちながらGKの前でマーカーを引き連れて立っていた。そして、動かなかった。GKの行動範囲を極端に制限して、クリアさせなかった。
「試合前からキーパーを邪魔するようにと言われていて、でも触りすぎないようにコースに入るように立ってたら、いい形でブロックすることになりました」
近づきすぎて接触すればファウルを取られる可能性が高まる。そうならない絶妙な場所に立っていて、しかも動かなかったことで自分をマークする相手の動きも止めたから、逆にこぼれ球には先に一瞬で反応できたというわけだ。
「去年は大きくチームに貢献した感覚がありませんでした」というのが本音だ。終盤にレギュラーになったとはいえ、1年を通して活躍した手応えはなかった。だが今年は「ここまでたくさん出ているのはうれしいことですし、充実しています」とみなぎっている。ただし、出るだけではダメで「もっと直接的に勝利に貢献したと言われるような活躍をしたいんです。絶対的な選手になれるようにと思いながら練習に取り組んでいます」と言葉にも熱がこもる。
残りは2試合で、首位の横浜F・マリノスを勝ち点2差まで追い詰めている。川崎Fは勝つことだけを考えて、次はホーム最終戦となるヴィッセル神戸戦だ。アンドレス・イニエスタが復帰するという情報もささやかれる。
「前回、イニエスタにはやられたので、借りを返せるようにがっつりとボールを奪いにいきたいと思っています」
成長の自信をもらうには、申し分のない相手が待っている。