9月17日の明治安田生命J1リーグ第30節で、首位の横浜F・マリノスを追う川崎フロンターレが柏レイソルとのアウェーゲームに臨んだ。38分に幸先よく小林悠のゴールで先制したまでは良かったが、後半は柏に押されてゴールを許した。追いつかれてのドローは2戦連続で、優勝争いには手痛い結果になった。

上写真=サポーターの大きな拍手でスタジアムをあとにする川崎Fの選手たち(写真◎J.LEAGUE)

■2022年9月17日 J1リーグ第30節(三協F柏/12,276人)
柏 1-1 川崎F
得点者:(柏)ドウグラス
    (川)小林悠

画像: ■2022年9月17日 J1リーグ第30節(三協F柏/12,276人) 柏 1-1 川崎F 得点者:(柏)ドウグラス (川)小林悠

「互角以上の戦いができた」とネルシーニョ監督

 名古屋グランパスに追いつかれてドローで終えた名古屋グランパス戦から中2日。川崎フロンターレはぎこちなかった。

 右サイドバックの山根視来が出場停止。右インサイドハーフの脇坂泰斗もベンチスタートで、自慢の右サイドはおとなしかった。左もサイドバックの登里享平、インサイドハーフのチャナティップ、ウイングの宮城天と、順に5試合ぶり、8試合ぶり、13試合ぶりの先発出場。ポジショニングがずれ、パスの意図が合わず、スムーズさが失われていた。

 それを、試合の中で少しずつかみ合せていくのがこのチームらしさだろう。一進一退の攻防を経て、30分を過ぎる頃からテンポを上げてゴールに向かい始めると、38分に先制した。相手ミスをジョアン・シミッチが拾ったところから左に回すと、家長昭博と宮城天が左の狭い場所をワンツーで割って、左前に出た小林悠へ。落ち着いて放った右足シュートがGK佐々木雅士の手をはじいてゴールに飛び込んだ。

 川崎Fが時間を味方につけて、コンビネーションを深めていく展開。柏からすれば、それを許してしまった時間が惜しまれる。この日は4-4-2の布陣で臨み、右の北爪健吾、左の三丸拡の両サイドバックが裏に出て押し込み、22分にはカウンターから最後はマテウス・サヴィオがミドルシュートを鋭く狙うなど、際どい場面はあったからだ。

 後半は立場が変わり、キックオフから柏がパワー全開、真っ直ぐにゴールに迫った。だがその分、いきなりオープンな展開が繰り広げられることになった。どちらが先に結果につなげるか。

 それは柏だった。63分に左インサイドで受けた三丸がループパス、細谷真大がジェジエウと谷口彰悟に挟まれながらも体を張ってボールをうまくこぼすと、ドウグラスが蹴り込む力技で、同点に追いついてみせた。

 勝ち点3を手にして横浜FMを追撃したい川崎Fは、失点の直前の62分にマルシーニョ、71分に脇坂泰斗、知念慶、遠野大弥と攻撃に強みを持つ選手を立て続けに投入して、一気に押し返す強烈な意欲を見せた。柏も武藤雄樹と戸嶋祥郎を76分に送り込み、運動量豊富な戸嶋を最前線近くに立たせて前線のプレス役を任せた。両監督の交代策も見応えがあった。

 最後は川崎Fがジェジエウを最前線に上げるなど、勝利への強い思いを表現したものの、柏もGK佐々木雅士を中心に守り続けてタイムアップ。1-1で痛み分けとなった。

 2試合連続で追いつかれた末のドローで、川崎Fは勝ち点を取りこぼす格好に。優勝争いには痛い結末だったが、それでも鬼木達監督は「最後まであきらめない」と決意。「先制することができたので、たたみ掛けるところのパワーだけが悔やまれるところです。なんとか自分のところで出させてあげたかった」と、前節でも課題になった「2点目」を取れなかったことを悔やむばかりだった。

 小林悠は「絶対に勝ちたい試合だったので、すぐに切り替えるのは難しい」としながらも、「鬼木監督が信じていれば何かが起こると言ってくれた。その鬼木監督を信じていい準備をするだけです」と前を向いた。

 ネルシーニョ監督は「拮抗した内容で、攻守とも激しいバトルが終始見られた。個人としてもチームとしてもクオリティーの高い川崎に対して互角以上の戦いができた」と、ハイレベルの戦いになったことを喜んだ。追いついたあと逆転にまでは持ち込めなかったが、「後半に入ってからは選手たちは自分たちでボールを握るところはしっかり握って、決定機もつくったから、選手がもたらしてくれた勝ち点1です」と称えた。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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