もう1段階上のステージに進めるきっかけに
――競争が激しくメンバーの入れ替えも多い柏の中で、椎橋選手はほとんどの試合で出場しています。アンカーというポジションで替えが効かない存在ですが、「レイソルのアンカー」として求められているのはどんなものでしょうか。
椎橋 一番は中盤の球際での戦いですね。僕がひっくり返されてしまうと相手のチャンスになるし、勝てれば僕たちが押し込む展開になります。中盤での攻防については、ネルシーニョ監督から常に言われています。
――「球際の強さ」といってもいろいろだと思うのですが、椎橋選手にとって「強さ」の定義はどんなものでしょうか。
椎橋 体をぶつける強さもあると思いますけど、クレバーに奪いきることですね。ただ、Jリーグでは、やっぱり上位にいるチームは奪いにいったらパスでさばいて僕から当たりにいかせてもらえない印象があります。川崎フロンターレや横浜F・マリノスは上手な選手が多いので、接触プレーに持ち込ませてもらえないんです。
――アンカーでプレーする際には、3バックとの関係も大切になってきます。
椎橋 3バックとは積極的にコミュニケーションを取っていて、後ろの3人も自信を持ってやってくれるので僕が前にプレッシャーをかけられるんです。攻撃に移ったときにも、3人と僕の距離感も良くて、僕を経由してチェンジサイドや中盤での崩しができています。練習から質にこだわるところは後ろを中心にできているので、いまそこがチームの強みになっていると思います。
――アンカーシステムでは相手はその脇のスペースを狙ってくるのが定石となっていますが、そのケアのメカニズムはどう意識していますか。
椎橋 守備で5-3-2になるときの中盤の「3」のスライドですね。僕も含めて、ボールサイドにずれたら逆サイドも絞る、ということができています。3センターバックの左右の選手も、どちらか一方が前に出ていってスペースを牽制してくれて、相手もターンできなかったり、タイミングが良ければそこでつぶせます。ですから、僕の両脇は中盤のサイド、3バックのサイドがそれぞれケアしてくれていて、助かっていますね。
――その一方で、さらに伸ばしていけるポイントについてはどうとらえていますか。
椎橋 ゲームを作る力、読む力、中盤でゲームを落ち着かせられるような言動やパスで、全体をもっとコントロールしなければいけないポジションです。勝っていたり負けていたりでプレーは変わるので、そこを理解して周りを動かせるようにしていきたいですね。
――ゲームをコントロールしたり勝負を決めたり、という点では、今回8月のベストアシストに選ばれた一本のパスは、どんな意味を持ってくるでしょうか。
椎橋 僕がもう1段階上のステージに進めるきっかけになればいいと思っています。