9月7日の明治安田生命J1リーグ第25節の横浜F・マリノス戦で、湘南ベルマーレは0-3で完敗した。きっかけの1失点目は舘幸希がボールを離してしまったミスから奪われた。猛省する舘がここから見せる反骨心を、下位脱出を図る湘南の逆襲の合図にしてみせる。

上写真=舘幸希はミスをしたが、ここで立ち止まらない(写真◎J.LEAGUE)

■2022年9月7日 J1リーグ第25節(日産ス/11,388人)
横浜FM 3-0 湘南
得点者:(横)西村拓真、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウス

「開き直るところも必要」と山口監督

 痛恨のミスだった。舘幸希は茨田陽生から届いたバックパスに、西村拓真が寄せてきたので左にかわした。そのタッチが大きくなった。アンデルソン・ロペスに引っかけられて西村へ。そのまま独走されて、先制ゴールを許した。前半を0-0でしのいだあとの、56分のことだった。

「左右に振られて振られて、自分たちの良さが出せない中でも、みんながゴール前で体を張って守りきっている感覚がありました。そこにみんなの気迫を感じていました。だからこそ、ああいう水を差すようなプレー、一つのスキを見せたことは、みんなに申し訳ないですし、そのあともトーンダウンして引きずってしまったので、ミスはなくさなければいけないと改めて感じました」

 試合直後のミックスゾーンで、努めてはっきりと話した。ミスはミス。だが、そこから立ち直らなければならない意志が言葉に表れた。

 前半はキックオフ直後に豪雨に見舞われ、それでも横浜FMが高い技術でチャンスを作っていった。3センターバックの右に入って対応した舘は「何かおかしい」と感じていたという。

「前からプレッシャーをかけようと話していたけれど、真ん中でセンターフォワードの後ろにいるトップ下の選手の動きが気になって、そこに対してスライドしようとしたけれど奪いきれなかったところで逆サイドに展開されてプレスかかりきらず、何かおかしいなというのは、前半続いていました」

 それでも、湘南も前半終了間際に池田昌生、町野修斗が連続でゴールに迫るなど、ファイティングポーズは取り続けた。だが、56分の最初の失点で、拮抗していたパワーバランスが相手に傾いた。

 山口智監督は「何もないゲームになってしまいました」と厳しい口調で振り返ったが、それは特に精神面でのことだった。70分にアンデルソン・ロペスにPKで追加点を奪われ、89分にはこの日がデビューとなったヤン・マテウスにも決められて、終わってみれば0-3。山口監督はここから反骨心をむき出しにする選手を起用することを示唆したが、舘も自らのミスにふさぎこんでばかりはいられない。

「自分がミスをしたのは誰もがわかっています。それで落ち込む気持ちは、もちろんあります。でも、落ち込んでいても自分のためにはならないと思っています」

 次の試合は中2日、9月10日に迫っている。消化試合数は湘南が1試合少ない状態で、勝ち点2差で上をいく清水エスパルスが相手だ。山口監督も「アウェーで中2日でという厳しい戦いですが、いわば開き直るところも必要です。前向きにいくしかない」と力を込める。ミスをした舘自身が先頭に立てば、士気も上がるはずだ。

「切り替えてやる、と言っても、もちろん申し訳ない気持ちはあります。でも、やらなければいけない」

 残り7試合で、このミスを払拭してみせる。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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