コロナ禍に苦しむ川崎フロンターレが劇的な勝利を収めたのが、8月7日のこと。明治安田生命J1リーグ第24節で横浜F・マリノスからジェジエウがラストプレーで決勝ゴールをもぎ取った。ジョアン・シミッチは熱血と冷徹の両方で勝ちきったと振り返る。

上写真=ジョアン・シミッチはコロナ禍で苦しむチームにあって公式戦3試合フル出場中(写真◎J.LEAGUE)

「相手の特徴を逆に生かしていく」

 横浜F・マリノスとの決戦は2-1で勝利。90+9分にジェジエウが決めた決勝ゴールには、ジョアン・シミッチも幸福感を覚えたという。ラストプレーで勝利をもぎ取ったことはもちろん、ブラジルから来てともに戦う仲間がリハビリで苦しんできた姿を間近で見てきた。

 そんな感動的なゴールが生まれたのも、最後まで高い集中力を保ったからだ。

「全員の気持ちがこもったいい試合になったと思います」

 シミッチも成し遂げたことに胸を張るが、気持ちだけでは勝てないのも確か。

「気持ちが入ったゲームになりましたが、プレーする上で冷静さも重要になります。あの試合も気持ちのことだけではなく、すべてのプレーを覚えています。気持ちが高ぶるのと同じように冷静さも備えていなければ、あのようなゲームにはならないと思うんです」

 熱血と冷徹のバランスを保ちながら、繰り出したのが中長距離のパスだ。シミッチの強みの一つが、左足から繰り出すミドルレンジ以上のピンポイントパス。ハイプレスを仕掛ける横浜FMの陣形で、攻略する場所がどこにあるかを見ていた。

「マリノスさんは前線にスピードのある選手を揃えていて、強度を上げてハイプレスを仕掛けてくる、という情報は入っていました。彼らのスタイルを理解した上で試合に入りながら、自分たちのつなぐスタイルに加えて、相手の特徴を逆に生かしていくことでロングパスを有効活用できました」

 シミッチだけではなくて、例えば25分の先制点のシーンは、左センターバックの谷口彰悟から右外の山根視来に送り、ワンタッチでゴール前に届けたボールをレアンドロ・ダミアンが押し込んでいる。

 必要は発明の母、というが、新型コロナウイルス感染症で多数の陽性者が出る中で、ピッチに立てる選手がやるべきことをやりきった成果。この勝利はいわば、川崎Fにとっての「新発明」なのかもしれない。


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