山根視来がピッチに戻ってきて最初の試合で、鮮やかなアシストを決めてみせた。川崎フロンターレが横浜F・マリノスと戦った「頂上決戦」。8月7日の明治安田生命J1リーグ第24節で、山根がさすがのプレーで勝利に貢献。しかし、大きな反省もあった。

上写真=山根視来が見せた25分のアシストは驚きのワンタッチパスだった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月7日 J1リーグ第24節(等々力/20,704人)
川崎F 2-1 横浜FM
得点者:(川)レアンドロ・ダミアン、ジェジエウ
    (横)仲川輝人

「みんなの頑張りで心に来るものがありました」

 山根視来が帰ってきた。横浜F・マリノスとのJ最高峰の決戦で、帰ってきただけではなくて、驚きのアシストを決めてみせた。

 25分、最終ラインの谷口彰悟からのサイドチェンジのハイボールが送られてくる。これを収めて前へ出る、と思いきや、そのままワンタッチで右足のインサイドできっちりとたたいて中央に送った。DFとGKの間にバウンドさせる絶妙のセンタリング。これにレアンドロ・ダミアンが体を伸ばしてヘッドで食らいつき、ゴール左に流し込む見事な先制ゴールが生まれた。

「谷口選手とは、ああいうところでよく目が合うんです。トレーニングでもああいう形を出せていたし、(パスを受ける前にレアンドロ)ダミアン選手が相手よりもオフサイドポジションにいたのは確認できたので、自分が抜け出したタイミングで平行で上げることができたら決めてくれると思いました。いい形でゴールにつながってよかったです」

 J1では7月9日のガンバ大阪戦以来のゲームだ。それでもブランクを感じさせず、むしろ「山根視来ここにあり」を証明したアシストになった。

 右ウイングの家長昭博との名コンビも復活した。家長は「ずっとやってるので言葉もいらないし、信頼できています。彼は日本代表で多くの経験をしていますし、心配することはありません。きつかったとは思うけれど、いろいろなものを背負っている選手は違うなと改めて思いました」とその存在を頼もしく感じていた。

 山根自身は、心が跳ね回るのを抑えるのに必死だったという。

「試合の前からモチベーションの高鳴りをどうコントロールするかが大事でした」

 欠場している間、仲間たちが必死に戦う姿を目にして生まれた感情は特別で、大きく、深かった。

「浦和戦、セレッソ戦はテレビで見ていて、特にセレッソ戦ではみんなの頑張りで心に来るものがありました。一人のサッカー選手として、ここで結果を残さなければいけないという覚悟でピッチに立ちました」

 アシストという結果は、その覚悟の表れだ。ただ、大きなミスについては自分を律する。45+3分の失点は、前半のラストプレー。山根が右サイドを駆け上がって送ったクロスが跳ね返されてから、わずか11秒で決められている。

「ラストプレーだったんですけど、点を取りにいくところで僕のクロスが跳ね返されました。ラスト何分かと声がかかったときに、相手が前を向けるようになる選択したをした自分のミスです」

 時間を考えてクロスを送らずに、ボールを保持して時間を進め、1-0のまま前半を締めくくるべきだった、という学びである。

 家長は「いま一番いいサッカーをしているのはマリノスさん。僕たちはもっと謙虚に戦わなければならない」と厳しく指摘した。山根の反省こそ、まさに謙虚さの発露。逆転優勝のために、おごらずに試合に向かっていく。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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