上写真=川崎Fは84分、山村和也がヘッドで流し込んで1点を返した(写真◎Getty Images)
■2022年7月20日 PSGジャパンツアー2022 第1戦(@国立/64,922人)
パリ・サンジェルマン 2-1 川崎F
得点者:(パ)リオネル・メッシ、アルノー・カリムエンド
(川)山村和也
「体感したことのないスピードだった」と登里
本気で攻める。川崎フロンターレにとって、パリ・サンジェルマンとのゲームは自分たちの攻撃のスタイルでどこまで世界の一流を崩せるか勝負に出る90分だった。
17分には車屋紳太郎が深いところからレアンドロ・ダミアンにロングボールを当てて、胸で落としたところを遠野大弥が左オープンへと送り込んだ。GKドンナルンマにわずかに先に触られたが、裏のスペースを攻略する糸口は見えた。
20分には左からのクロスのこぼれ球を家長昭博がダイレクトボレーで脅かすと、家長のスルーパスでまたもマルシーニョが左を抜けて折り返し、遠野が狙った。35分にも右からのFKを遠野がファーへ、車屋紳太郎がヘッドで落としたところに家長がボールを2回浮かせてから左ボレーで狙った。
ただやはり、パリ・サンジェルマンのほうがレベルが高かった。ネイマール、メッシ、エンバペの個の力で時間を作って攻め込まれ、32分にメッシに蹴り込まれ、58分にはメッシのパスから右を崩されて最後はカリムエンドに押し込まれた。
スタンドを大きく沸かせたのは、後半開始早々の49分のこと。後半から入った知念慶が自陣でボールを奪ってそのままドリブルで突き進み、瀬古樹に預けてからゴール前へ、リターンパスを受けてフリーで狙ったが、枠を外れた。
「負けたくなかった」と意地を見せた小林悠がプレスをかけ、最後は松井蓮之がシュート、これで得たCKから84分にゴールが生まれる。左CKを瀬古がニアへ、クリアされたボールを再び瀬古が送ると、山村和也がヘッドでゴール右に送り込んで、1点差に迫った。
しかし、反撃もここまでだった。
鬼木達監督は試合前に「本気で戦う」ことを選手に求め、「狭いと思う場所でもスピードを持って攻め込んでくる」PSGの攻撃を体感してほしいと話していた。アンカー、左サイドバックでプレーした橘田健人は、まさにそれを肌で感じた。
「当ててから入っていくのは僕たちもやりたいこと。でも、そのスピード感がまったく違った。ただ当てて入っていくだけではなくて、こっちを引き出してから当てて入るし、気がついたらもう1歩も2歩も先に行かれた」
キャプテンを務めた登里享平も「体感したことのないスピードだった」と目を丸くした。だが「複数の選手が絡んで数的優位を作ってきた」ことは自分たちが学ぶべきものだと感じることができた。「勝ちたかった。本当に悔しい」とつぶやく小林の言葉が、J1リーグ3連覇への力強い指針になるだろう。
現地取材◎平澤大輔 写真◎福地和男