上写真=チャナティップは「自分らしく」と個性を生かす思いで戦う(写真◎J.LEAGUE)
「ウイングなのかインサイドハーフなのか」
「小さい頃から憧れていました」
チャナティップが対戦を心待ちにする一人が、アルゼンチン代表のリオネル・メッシだ。PSGの一員として来日し、3試合を行うツアーの初戦で川崎フロンターレが7月20日に戦う。
かつて対戦した経験があって「隣に立っただけでパワーをもらえた気がして、幸せを感じました」というほどに仰ぎ見る。「U-19の大会に出場したときに、怖いものなしでドリブルで運んでいったプレーを見て、タイのメディアやファン・サポーターがつけてくれました」というのが「タイのメッシ」の愛称だ。
小柄でクイックネスに特徴があり、ドリブルが得意なアタッカー。まさにメッシがお手本だが、「自分ではメッシだとは思っていません」と謙虚に受け止めるのがチャナティップらしいところ。
川崎Fではここ4試合連続で先発出場を勝ち取った。直近の第21節ガンバ大阪戦では、左サイドで裏のスペースに巧みに浮き球のパスを送ってマルシーニョを走らせ、レアンドロ・ダミアンの先制ゴールにつなげている。
川崎F独自の4-3-3システムにおいて与えられた役割が、その個性にフィットしてきたようにも見える。しかし、「自分の中で、まだどうなのかなというところがあるんです」と意外な答え。
「対戦相手によってポジションも変わってきて、インサイドハーフでもウイングでもどちらでも、監督から与えられた仕事、チームから与えられた仕事を全力でやっています。最近はインサイドハーフでプレーする時間が長くなってきましたが、チームメートがより効果のある前のエリアに入っていけるような場所で受けようと考えています」
自分が生きることと同じように、味方がより良い状態でプレーできるようにポジションを取ること。それがいまのテーマだ。
「自分に合っているのがウイングなのかインサイドハーフなのかはまだわかりませんが、これからも挑戦していきたい」
リーグ戦ではまだゴールがないが、第18節のジュビロ磐田戦では独走して左足で狙ったシュートが右ポストに直撃するビッグチャンスがあって、少しずつ近づいている。
「磐田戦で決めきれなかったのは残念で、もったいなかったと思います。これからゴールには自分としてもフォーカスしていきたいですけど、それよりもチームの勝利を一番に考えなければいけない時期です。勝利すればうれしいですから、そこに貢献できるようなプレーをどんどん自分らしく出していきたい」
そのきっかけを、メッシの前でつかみたい。