日本代表キャプテンとして
――J1では第21節現在、3位です。首位横浜F・マリノスとは1試合消化が少ない状況で勝ち点7の差がありますが、登里享平選手が復帰したのに続き、センターバックのパートナー、ジェジエウ選手ももうすぐ帰ってきそうですね。
谷口 やっぱり迫力ありますよ! 相手がビビっちゃうというか、近くに寄せていくと焦るというか、そう思わせたらディフェンスは勝ちだなと改めて思います。またいい刺激をもらっています。
――現在、主にコンビを組む車屋紳太郎選手も安定感は抜群です。
谷口 もともと高いレベルで全部できる選手ですから、不安はありません。ビルドアップでは特に、詰まったと思ったら自分で運んで外したり、そういうプレーはさすがだなと感心しながら隣で見ています。ラインコントロールや対人は本人がこだわりを持ってトライしているので、もっともっと良くなるし強くなると思います。僕もそうしなければならないし、2人で切磋琢磨していい関係でできています。
――そこに山村和也選手も加わるわけですが、ジェジエウ選手や山村選手と組むときは、谷口選手は左、車屋選手となら右に入ります。どんな違いに気をつけていますか。
谷口 違いは大きいと思っているんです。利き足は右なので、右センターバックに入ったときに右足の前にオープンな形でボールを置くと、実はパスコースが制限されがちになるんですね。左の場合は右足にボールを置いて中につけられる状況を作りながら、そこを抑えられれば引っ掛けて外に出すことができるので、相手は絞りづらいと思います。一方で、右に入って右足で持つメリットもあって、逆サイドへの長いボールや同サイドの裏に落とすボールを蹴ることができます。右にいるからこそパスの幅が広がるので、キックの種類は右の方が多いかもしれませんね。
――守るときも違いはありますか。
谷口 最初は気を使います。軸足が変わってくるからです。左なら左足を軸に右でボールを刈っていくことが多いけれど、右なら逆になって、細かいところですが違ってきますね。
――センターバックとしては、前に立つアンカーの選手の個性によってもプレーの選択が変わってくると思います。橘田健人のほかに、最近では大島選手がプレーしていますね。
谷口 僚太はとにかくボールを持てるので、相手を見ながらできるのは強み、すごみだと感じています。チームとしてうまく使いながらビルドアップするのは武器になるなと。守備では、本人も復帰明けでもあって100パーセントではないと思うので、みんなでカバーしながらやっています。
健人がアンカーに入ったときには、どこにでもカバーリングに行ける守備範囲の広さを持っているので、そういうところを引き出したいですね。あとは、ビルドアップのところでもボールをしっかり扱える技術があるので、自分たちもサポートしながら健人をうまく使って前に運んでいくことですね。
――谷口選手個人の話としては、E-1選手権に臨む日本代表に選ばれました。森保一監督はメンバー発表会見でキャプテン候補に挙げています。
谷口 国内組の選手だけで臨む大会ですし、東アジアのチャンピオンを決める大会なので3連勝で終わりたいと思います。それに4カ月後にはワールドカップが開催されるので、今回選ばれた選手にとってこんなチャンスはないと思います。この大会から9月のテストマッチ、そして11月のワールドカップにつなげていきたいと思う選手しかいないと思っているので、ギラギラ感が見てわかるような野心あふれるゲームをしたいです。
自分の立場としては去年から順調に活動に参加させてもらって、コンセプトや目指しているところを理解しているつもりです。しっかりコミュニケーションを取りながら、代表チームとしてやらなければいけないことを共有する立場にあると思うので、そういう役割もしっかり果たしたいですね。
そして、いい大会にしたいです。ここをきっかけに、ガラッと変えられるような試合にしたいと思っています。
取材・構成◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE / KAWASAKI FRONTALE
※本文中の数字はすべて7月14日時点
谷口彰悟(たにぐち・しょうご)◎1991年7月15日生まれ、熊本県出身。大津高-筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに加入。ボランチやサイドバックでもプレーしながら成長を遂げ、いまやセンターバックとして大黒柱に。20年からはキャプテンも務めている。2021年には日本代表にも復帰して、ワールドカップ最終予選でも活躍した。7月のE-1選手権では日本代表のキャプテンに指名された。183cm、75kg